第6話 ☆☆ネフェリー☆☆

「へ? ヤシロへのプレゼント?」


 鶏舎の掃除をしていると、ミリィがノーマとデリアを引き連れてやって来た。

 なんでも、クリスマスにみんなでヤシロにプレゼントをしようって話らしい。


「そっかぁ。ミリィらしい考えだね。うん。いいよ。私も協力してあげる」

「ほんと? ぁりがとう、ねふぇりーさん」


 弾けるような笑顔を見せるミリィに、私も笑顔を返す。

 ……少しだけの罪悪感を胸に秘めながら。



 ごめん。ミリィ。

 実を言うと、そもそもプレゼントするつもりはあったんだけど、変な意味にとられたらどうしようとか、二人っきりじゃなきゃ渡しにくいなぁとか、そもそも個人的にプレゼントとか恥ずかしいなぁとか、そんな感じで尻込みしてたところだから渡りに船的に利用させてもらおうって思ったのが本音なの!

 ホントごめん!

「協力してあげる」とか、ちょっと上から物言っちゃって、ホントごめん!


「それでね、みんな自分の仕事に関係あるものにしようって、ぉ話してたの」

「ついでに、手作りにしようって話もしてたんさよ」

「仕事に関係あるもので手作り……」


 まさに!

 私がヤシロにプレゼントしようとしてた物に条件ピッタリじゃない!

 よし。さりげなく、その話に乗っかったような顔で参加しよう。


「それじゃあ、ちょうど作ってみようかなぁ~って思ってた物があるから、それにしようかなぁ~、なんて」

「焼き鳥か?」

「なんでよ!? そんなの、クリスマスのプレゼントにするわけないじゃない!」

「でも、美味いぞ。鮭には負けるけど」

「はぁ? 負けてませんけど!?」

「じゃあ勝負だ!」

「望むところよ! デリアは鮭! 私は焼き鳥をクリスマスプレゼントに――しないよ!?」


 危ない!

 危なくムードもへったくれもない女の子になっちゃうところだった。

 もう!

 デリアはムードとかに無縁なんだから口を挟まないで!


「私、エッグキャンドルを作る」

「ぇっぐきゃんどる?」

「どんなもんさね?」


 エッグキャンドルは、卵の殻に蝋を流し込んで作るキャンドルで、綺麗な色や香りを付けられるんだ。

 卵型でカラフルでいい香りのする素敵なキャンドルなの。

 うふふ。きっとヤシロにも気に入ってもらえると思うんだ~。


「エッグキャンドルはね、卵を使って作るキャンドルなんだよ」

「それは……食べられるのかい?」

「いや、ノーマ……キャンドル食べてどうするのよ?」

「分かった! 卵焼きに火をつけるんだな!」

「焦げる焦げる。焦げて燃え尽きるから、それ」


 何も分かってないよ、デリア。


「まぁ、鳥じゃないなら鮭の勝ちだな」


 デリア……本気で鮭をプレゼントするつもりなのかな?

 え? 本気?

 クリスマスだよ?


 でもまぁ、デリアだし……あり得る、よね。


「イクラも、美味しいしな!」

「うん……そだね」


 デリアとは結構長い付き合いだけど……


 デリアがいつか、ちゃんとした女の子になれるといいな。って、願わずにはいられなかった。





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