第4話 ☆☆レジーナ☆☆
「へ? おっぱい魔神はんへのプレゼント?」
昼前に、珍しいお客はんがぎょーさんで押しかけてきはった。
狭い店がぎゅーぎゅーや。いや、むっぎゅむっぎゅや。
「むっぎゅむっぎゅやな」
「どこ見て言ってんさね!?」
「おっぱいや!」
「胸張るんじゃないさね!」
煙管で額をこつーんと突いて、大きくはだけた胸元を覆い隠すキツネの鍛冶師はん。
そんな見せびらかされたら見てまうっちゅうねん。
「ぁのね、れじーなさん」
可愛らしい顔で事の成り行きを説明するミリィちゃん。
……ん?
なんや?
ウチが人の名前普通に呼んだら変か? 変なんかいな?
しゃーないなぁ。
「大体の趣旨は理解したわ、幼女エロスはん」
「みりぃ、そんな要素は持ち合わせてないょ!?」
いやいや。
こーゆー大人しそうな娘ほど、乱れた時に…………はぁはぁ。
「だから、レジーナんとこは最後にしようって言ったんさね」
「けどよぉ、こいつ夜になるとさらに手が付けられなくなるから厄介だってヤシロが言ってたぞ?」
「…………確かに、その通りさね」
「日中なら、半分以上死にかかっててちょうどいいって」
なんや、酷い言われようやなぁ。
そんな戯言を吹聴しとるんかいな、あのおっぱい魔神はんは……
「ほんで、ウチがそのおっぱい魔神はんになんかプレゼントしたらえぇんかいな?」
「ぅん。お願いできる、かな?」
「まぁ、かまへんよ。いつも世話に――いや、『お世話(意味深)』になっとるさかいにな」
「ミリィ。耳をふさぎな! 腐り落ちちまうよ!」
ミリィちゃんが「ぴぃ!」って泣きながら耳をふさぐ。
……あかん。あまりに可愛過ぎて、ちょっときゅんとしてもぅた。
こんな可愛らしい友人にお願いされたら、断られへんわぁ。
よっしゃ! ウチが一肌脱いだろ!
「よっしゃ! ウチが全裸になったろ!」
「一肌脱ぐ程度にとどめておくんさよ!」
アカン。ちょこ~っとだけ間違えてもぅた。てへっ☆
「ウチのプレゼントは、まぁ、これしかないわな」
言いながら、赤いリボンを取り出す。
「そのリボンがプレゼントなんかぃ?」
リボンを見つめるキツネの鍛冶師はん。
クマの漁師はんも興味津々にリボンを見つめる。
「このリボンは、あくまでラッピング用や。これを、こうして……」
赤いリボンを自分の首に巻き付けて、綺麗な蝶々結びにする。
そして、おもむろに服を脱ぎ――
「一肌脱ぐ程度にとどめておけって、言ってんさよ……っ!」
「痛い痛い痛いっ! 煙管でコメカミぐりぐりはやめてんか」
プレゼントの王道、『プレゼントはワ・タ・シ☆』をやろうとして、全力で止められてもぅた。
なんやのんな。洒落やのに……
「ぁのね、みんなでね、自分の仕事に関係する物にしよぅって決めたんだ」
「仕事に関係する物、かいな?」
「ぅん。ぉ仕事のこと、理解してもらえると嬉しぃ、……ょね?」
なるほどなぁ。
この三人なら……いや、この街の、あのおっぱい魔神はんの知人らぁやったら、そうなんかもしれへんな。
自分を知ってもらいたい。
誇りを持っている自分の仕事のことを知ってもらいたい。
そんな風に思ぅんは。
……まぁ、ウチかて、あん
「ほなら、この秘伝の薬『男のプライド復活! 超絶ギンギn――』」
「没収さね!」
あぁー!
在庫が極わずかな貴重品がー!
「しゃーない。ほならこの『聖女をも娼婦に変え――』」
「没収さね! あと一回でデリアの『こつん』をお見舞いするさよ?」
はたして、あのクマの漁師はんが『こつん』なんて可愛らしい音を鳴らせるのか否か…………否、やな。
「ほなら、銀の皿でも贈ったろぅかな」
「銀の、ぉ皿?」
「せや。銀の食器はな、毒物に反応して変色するんや。……ほら、あん御人、いつ毒殺されてもおかしない生き方してはるやろ?」
「ぅ、ゃ、ぁの……そんなこと、ない……ょね?」
「いやいや。きっとそのうち……『酷いっ、私だけだって言ったのにっ! この裏切り者ぉー!(グサー!)』……ってな具合に」
「毒殺じゃないさね、それ……」
まぁ、楯にもなるかもしれへんしな、銀やったら。
「せや、どうせプレゼント渡すんやったら、衣装にもこだわった方がえぇんとちゃうか?」
「ぃ、しょう?」
「せや。お三人さんで可愛らし~ぃ衣装、作って貰ぅたら、えぇんとちゃうか?」
ウチがナイスな提案をしてにっこり微笑むと、三人そろって顔が引きつってもぅた。
なんやのんな、折角の人の好意を。失礼やなぁ~。
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