静かに語られる最後の一行に、涙した。
とても上質な文学作品を読んだような読後感。
主人公はベストセラー作家。
しかし、彼は人を愛したことがない。
そんな作家が妖艶な女の幽霊と出会う。
彼は幽霊に魅入られ、ついには彼女の元へ行きたいと願うようになり、遺書をしたためるが……。
作家が幽霊に魅入られてゆく様子が丁寧に描かれ、そのなかで、作家の人間性や、どんな人生を送ってきたか、あるいは幼い日の記憶などが語られる。
初見では文章の密度が高い、漢字が多いなどと感じたが、意外とするする読める。
目が勝手に文章を追って流れてゆく。
こういう文章が書けたらと憧れる。