第67話 謝罪と和解
ティー達を引き渡してからは何もする気が起きず彰吾は眠りについていた。
「ふぁ………今何時だぁ?」
まだ眠そうに欠伸しながら体を起こした彰吾は部屋に用意し手ある時計を見ようとするが、眠気で目をまともに開ける事が出来ず諦めて顔を洗いに行く。
「っ!ふぅ~スッキリした‼」
顔を洗い寝起きの歯磨きもした彰吾は意識もはっきりした様子で寝起きの身支度を終わらせて、部屋に戻って改めて時間などを確認した。
「あぁ…3日くらい寝てるか?んで、今は昼過ぎか…寝すぎ…でもないか」
時計には日付を表記するところもあり3日間、一度も起きることなく寝ていた事実に少し不安に関した様子だったが彰吾はすぐに気にするのを辞めた。だいぶに地球での感覚は抜けてきてはいるが、ふとした瞬間に地球の感覚に戻ってしまいそうになる時があるのだ。
彰吾が数日寝るなんてことは今更も良いところなので気にする必要などないという事だ。
そして意識を切り替えて頭がしっかり動くようになった彰吾は二度寝は無理そうだと考え、なにか暇つぶしになるものを探しに執務室の方へと入った。
「お、何かあるな。えっと…」
机の上に置いてあった数枚の紙束を手に取る。
そこに書かれていたのは彰吾が眠っている間に進んだ『妖精達に関する出来後』に関する報告書だった。
パラパラと数秒で速読すると彰吾は笑みを浮かべた。
「うん、無事に解決したみたいでよかったわ」
そこに書かれていたのは引き渡したティー達は丸1日、どこかエルフ達も見つける事もできなかったがエイシャと一緒にどこかに消えて戻ってくると極端に大人しくなっていたようだ。
戻ってくるとエルフ達の集落に来て謝罪してきたのだ。
あまりにもな変わりように理由が知りたくなったアイアスは思わず…「どうやったらそこまで変わる?」と聞いた。するとティー達は顔を青くしてガタガタと大きく震え出し、小声で『ごめんなさい』と繰り返し言っていた。
その以上と見える様子に恐怖を覚えているエルフ達の前に出たのは変わらず綺麗な笑顔を浮かべるエイシャだった。
『すみません。少し教育する時にやりすぎてしまったみたいで、数日休めば落ち着くと思うので気にしないでください』
「え、いや…でも」
『気にしないでください』
と何かを言おうとしても言わせてもらえず、これ以上深く踏み込んで話ては危険な気がしたようで話す事を辞めた。その後は謝罪を正式に受け入れ、アイアスとエイシャのに種族の代表同士で正式に契約書を用いてお互いに危害【今回のような悪戯を含む】を加えない事を約束した。
この契約は集団の長同士が結ぶ事で各集団全体に効力を発揮するもので、違反した者は書かれている罰則を受ける事になる。
今回の場合は【違反者は顔に行った内容が書かれ、相手に謝罪しなければ文字が消える事はない】と言った内容だ。
契約内容は締結後に全体に布告する事で正式に効果を発揮する。
その契約内容の布告の時にエルフは大して混乱はなかったが、妖精達は今までのように自由にふるまう事が出来なくなってしまう事に反発して騒ぎ出した。
だが、今回の件でブチ切れているエイシャを前にそんな態度は悪手だった。
すぐに気が付いた物は大人しくなったが、半数以上が気が付くことなく騒ぎ続けてしまった。
「では、今騒いでいる皆さんは【教育】という事でいいですね?」
『『『『『『『『『……え?』』』』』』』』』
笑顔だが笑っていないエイシャを前にして妖精達はようやっと自分達の過ちに気が付いたが、すでに手遅れで瞬時にエイシャの魔力によって拘束されてティー達が教育された場所へと強制的に連れていかれてしまうのだった。
翌日には全員が受け入れて戻ってきていて…その光景を見たエルフ達がエイシャに底知れぬ恐怖を抱くのだった。
「やっぱり、エイシャって怖いよな~」
全部読み終わった後に彰吾が静かに漏らした感想だった。
なにせティー達を引き渡した時に感じた怒りの漢字だけでも彰吾ですら脅威に感じるほどだったのだ。並の者が正面から受ければ恐怖どころか下手すればトラウマものだ。
「あとで、やりすぎないように様子見に行った方がいいかな…」
今すぐはまだ怒りがくすぶっていそうで怖いので彰吾は少し時間を空けてから、エイシャが行き過ぎた事をしないように様子を見に行くことを決める。
こうして一先ずのエルフと妖精のに種族の関係に関する問題は解決するのだった。
「はぁ……しばらく何も起こらないと良いな~」
あまりに怒涛の数カ月にもう彰吾は辟易とした感じで、少し諦めを含みながらも全力で願う。
『どうか、半年は静かに過ごせますように…』と…そんな叶うはずもない願いを…
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