第65話 妖精騒動‼《6》
「見つけたのか…」
戻ってきた虫型人形の1体から情報を受け取った彰吾は想定よりも簡単に見つかったことに一息つく。すぐに見つかるとは思っていたけれど、隠れていることまでは彰吾も想定していたで1時間半はかかる予定だった。
それが30分短縮して1時間で発見してしまったので予定より休めなかったことが残念だったのだ。
「俺が行くまでは動くな。合図として手を上げたら突撃して中にいる者を捕獲…傷はできるだけ付けるなよ?」
『……』
手の上に乗っていた虫型人形は指示を聞くと了承を伝えるように小さく上下に動き、元来た方向へと高速で飛んでいった。
後に続くようにして彰吾も少し遅れてティー達が隠れている木の場所へと向かった。
そこには無数の黒い虫型人形が一本の木を囲うようにして待機していて、虫型人形達が向く方向に在る木にショウガが眼を凝らせば他とは違い不自然な魔力の流れが出来ていた。
「強度の強化ってところか。それに不自然に魔力が集まっている場所があるから、なにかで蓋でもしているってところか」
魔力の流れを見ただけで彰吾は木に掛かっている魔法の種類を的中させて見せた。
更に深く魔力の流れを見て彰吾は中にいる人数すら見た。
「だいたい5~6人か…おい!ティー居るのはわかっているから出てこい‼どうせ悪戯したのはお前らだろう」
まずは降伏勧告だと彰吾が大声で呼びかけると木の中からガタガタと何かが動く音が聞こえてくる。しかし待っても返事は返ってこなかった。
「あと十秒だけ待つ。もし、それでも出てこないなら実力行使で行くぞ!10~」
『ちょっ⁉ちょっと待って!今出るからっ』
容赦のないプレッシャーを放ちながら彰吾がカウントダウンを開始、すると中から慌てた様子でティーが大きな声で慌てた様子で叫ぶ。それを聞いて彰吾は上げかけていた手を下ろして出てくるのを待つ。
しばらく中では何かいい争いしている声らしき音が聞こえてくる。
更に数分、ようやく塞がっていた場所が開きティー達が姿を現した。
出てきたティー達は全員が髪がボサボサの顔にも痣があって、何か聞こえて会時に言い争いでもしていたのだろうと分かった。その上で変に質問すると巻き込まれると思った彰吾は何も聞かない事にした。
「さて、何か言い訳はあるかな?」
『『『『『『………』』』』』』
「無言ってことは、お仕置き4倍がお望みという事でいいんだな。エイシャには俺からそう伝えt『ごめんなさい‼』」
エイシャを引き合いに出して脅しを掛けようと彰吾が話していると、それを遮ってティーが大きな声と共に空中で土下座して見せた。後に続くように他の妖精達も一斉に同じように空中土下座を披露して見せた。
その全員が顔を青く染めてガクガクと小刻みに震えていた。
(……何をしたら、ここまで恐怖されるんだ?)
あまりの怯えように彰吾は過去にエイシャが何をやったのかとてつもなく強い興味を引かれたが、同じくらい知るのが怖くなったので深く聞くことはしないでおく事にした。
「お前達…今回の悪戯はさすがに許容範囲を超えている。なので4倍のお仕置きはしないが、最低限の罰則は受けてもらう」
『そんな⁉』
「そんな⁉じゃないんだよ。このまま放置していると大けが負わせそうだからな…さすがに反省しろ」
『誰がっ』
「にがさねぇ~よ」
根本的にお仕置きされること自体が嫌なようでティー達は一斉に周囲へと視線を向けて、逃げようとして見せたがそれを許すほど彰吾は優しくない。
睨みつけるように見下ろしながら彰吾が合図を送ると虫型人形達が一斉に動き、妖精の逃走経路を塞ぐように立ち塞がる。
『『『『『『⁉』』』』』』
【連結発動:ウィンド・コクーン】
一瞬ティー達が動きを止めると同時に虫型人形を起点に広がった無数の魔方陣を連結して起動する。一瞬だけ魔方陣が光ると風が渦巻きティー達を繭のように編み込まれた風によって包み込まれる。
この魔法の効果は見た通りだ。
対象を風の繭で包み込み動きを封じ拘束する。と言った単純なもので強力な魔法を使える妖精などを拘束する事はできないが、そこで今回の【連結発動】と言う形態が意味を発揮する。
複数の同じ魔法を同時に近距離で発動させる。
その事によって魔法同士が一種の共鳴のように強いつながりを持つようになり、それを維持したまま魔力の出力を同じにする。これを完璧にこなすと共鳴は完全となって出力は単純計算、最低でも元の出力×発動数ほどの強化される。
更に彰吾の場合は称号やスキルに種族特性なども合わさって上がっているので、妖精だろうが簡単に無力化する事に成功したのだ。
「しばらくそこで反省していろ」
そう言った彰吾は風の繭を上空に浮かせてクルクルと回転させて遊びながら妖精の集落、そので問題児どもを待っているであろうエイシャの元へと向かうのだった。
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