第63話 妖精騒動‼《4》
自室を出てアイアスと目撃者のエルフ達と合流した彰吾は…想定していな中でも一番めんどくさい内容に呆れていた。
「はぁ……やりやがったな。元々何かやるとは思ってたけど…」
あった時から妖精はよく言えば自由奔放で天真爛漫、悪く言えば自己中心的で傲岸不遜な我儘放題だ。一応は村長のエイシャの前では大人しく指示に従っているようだったので大丈夫と判断していたのだ。
しかし結果は現在の通り、その事を理解しているからこそ彰吾は怠くて仕方なかった。なにせ自分の甘い判断が招いた結果に他ならないから。
「とりあえず、妖精達には俺が直接話を付けてくるから。エルフ達は自分達の集落で普通に生活していてくれ。そのペイントの消去には特殊な薬液が必要だから、今準備させてるから準備が出来次で届ける」
「助かります」
「もし妖精達がそちらに行った時は死んでなければ叩き落すことを許可する。適当に地面に叩き落として捕まえといてくれ」
「わ、わかりました」
次々と出てくる彰吾からの指示に対してアイアスは少し動揺していたが、必死に覚える事に全力を注ぐ。途中、妖精達への容赦のない扱いに少し動揺していた。
だが彰吾の発言はかなり助かる内容でもあった。なにせ同じく保護された者同士で争っていいわけもなく、下手に傷を負わせてしまっては問題が大きくなりすぎると考えて明確な反撃ができないでいたのだ。
しかし今の発言で最低限の制圧行動は許可されたものと成った。
これで遠慮することなく魔術を使用しての拘束を実行する事が出来る。もっともアイアスを除いた者達だと、妖精達を拘束するだけの魔術の腕の持ち主は極々少数だった。
「じゃ、俺は妖精達に話に行くから。お前らは、この部屋好きに使っていいから少し本気で休め」
それだけ言って彰吾はエルフ達の返事を聞く前に足早に出ていった。
何かまだ言いたそうにしていたアイアスの顔にも気が付いていたようだったが、それ以上にさっさと問題を片付けてしまおうと急いでいた。
そして急ぐために広い魔王城を周囲に影響がないように最善の注意を払いながら全力疾走して妖精の集落へと来ていた。
『あ、飴の人!』
『本当だ~!飴ちょうだい‼』
彰吾の姿を見た妖精達は以前にもらった飴玉の味が忘れられなかったようで、群がり一斉に飴玉を強請る。だが今回は機嫌も良くないし、急いできたので飴玉など持っていないので渡したくても渡せない。
なので群がる妖精を無視してエイシャの屋敷へとやってきた。
『魔王様!急にどのような用件で来たのですか?』
屋敷内に居たエイシャは近寄ってくる魔王としての魔力の反応を探知して慌てて飛び出てきたのだ。まさか昼前と言う中途半端な時間に彰吾がやってくると思っていなかったようで、驚いた様子だったが何とか冷静なように取り繕って話す。
そんなエイシャの様子を見ながらゆっくりと彰吾は口を開く。
「今回は妖精達のやらかしについてだ」
『っ⁉また何かやらかしたんですか‼』
『『『『『『『『『や、やってません!』』』』』』』』』
彰吾の言葉を聞いたエイシャは何が起こったのか瞬時に理解して、今回もが嫌でこっそり話を盗み聞ぎしていた妖精達に振り向き語気を強める。
怒鳴るような声を聞いて昨日の教育の恐怖を思い出した妖精達は顔を青くして、必死に否定する。あんな恐怖を味わった次の日にやらかすほど妖精達もバカではなかった。
その反応を間近でも見た彰吾も少し首を傾げた。
(あの反応だと本当にやってなさそうだけど…だとすると犯人は…)
心の底から出ているであろう妖精達のエイシャへの説明を聞きながら、彰吾は妖精達を確認していき気が付いた。
「ティーと数名いないようだけど…そいつらは何処だ?」
『え?すぐに確認しますっ』
まさかと思いエイシャが急いで妖精の集落全体を確認した。ついでに彰吾が妖精達へと聞き取りすると、ティーを含めて数名で出かけているのを見たそうだ。
それを戻ってきたエイシャに伝えると…
『おそらくティーと仲のよかった者がちょうどいないので、おそらくその4名で何かをやっているのかと思います』
「はぁ…マジか、何か3人を探すきっかけになるような物を知っているか?」
『いえ、まだ来て日が浅いですから。エルフの方々から狩りなんかを教えてもらう前でしいるたので、この森林の地形が分からず…』
心底申し訳なさそうにエイシャはしていた。
本来なら率先して妖精達の代表として捜索に貢献すべき!と思っているのだ。ゆえに何の役にも立たない現状に罪悪感を抱いていた。
まぁ…そんなことを彰吾が気にするはずもない。
「わかった。とにかく、此処に居る者達は無罪ってことでいい。変わりに今見つかっていない者が帰ってきたら捕まえて知らせてくれ、俺は森林中を捜索する」
『わかりました』
「なら、任せる」
そうして妖精の集落に帰ってきたところを捕まえるのはエイシャに任せ、彰吾は少しエルフと妖精の両集落から離れた所に来て虫サイズの人形を無数に創り出す。
「イメージを送った。その者達を探して、案内しろ」
小型の100はアル虫型人形に簡単な命令を出して森林エリアへと放つ。
虫が苦手な者が見たら発狂するような動きで森林エリアに散っていった。
「さて…今回は軽い説教じゃ~済まさないぞ?」
まだ捕まえられていないティーの生意気な表情を思い出しながら、くぎを刺すようなことを言って彰吾は捕まえた後の事を楽しそ~うに笑みを浮かべて考え続けていた。
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