第7話 能力鑑定!
鑑定スキルの有用性が分かった彰吾は、早速とばかりにステータスやスキルに対して鑑定を使用した。
《鑑定結果:魔王》
《神々が定めた人類への抑止力。魔王の種族・職業になった者は絶大な力を得る》
《鑑定結果:力》
《備考:その者の持つ物理的な干渉力を表す》
《鑑定結果:魔力》
《備考:その者の持つ魔法的な干渉力を表す》
《鑑定結果:防御力》
《備考:その者の持つ肉体強度を表す》
《鑑定結果:知力》
《備考:その者の持つ知能を表す》
《鑑定結果:器用》
《備考:その者が持つ体の操作精度を表す》
《鑑定結果:俊敏》
《備考:その者の持つ速力を表す》
《鑑定結果:運》
《備考:その者の持つ運の値を表す》
ここまでが能力値の鑑定結果で、そこまで確認した彰吾は少し詰まらなそうに漏らす。
「何と言うか、くどい…一気に鑑定した俺も悪いけど、似たような内容が一気に目の前に出てくると疲れる。しかも詳細なようでいて内容がこう、ふわっとしているのが何とも言えない…。うん、とりあえずスキルもあることだし残りも早く確認しちゃおう」
一気に全部鑑定した結果、彰吾の前には大量の鑑定結果が視界を塞ぐほどに表示されていたのだ。しかも最初に表示された能力値の鑑定結果は内容がほとんど同じで、その割に内容が分かり難いので彰吾は詰まらない作業にしか感じなかった。
しかし一度使った鑑定スキルは他のスキルや称号の結果を表示し続けているため、なんとか気を引き締めると確認を再開するのだった。
《鑑定結果:速読》
《備考:文字を読むときにレベルに応じて読む速度上昇。形式・常時発動》
《鑑定結果:高速思考》
《備考:レベルに応じて思考速度の上昇。形式・常時発動》
《鑑定結果:並列思考》
《備考:レベルに応じて物事を複数同時に思考する事ができる。形式・常時発動》
《鑑定結果:技術の極み》
《備考:習得した技術に該当するすべての精度が上がる。形式・常時発動》
《鑑定結果:予測》
《備考:自身が認識している出来事を予測する。レベルに応じて予測の精度上昇。形式・任意発動》
《鑑定結果:格闘》
《備考:肉体を使用した戦闘に大幅な補正。形式・常時発動》
《鑑定結果:隠蔽》
《備考:指定した対象を隠す、あるいは別の何かに見せることが出来る。形式・任意発動》
《鑑定結果:闇魔法》
《備考:闇属性の魔法が使用できる。現在使用可能魔法・ダークボール/ブラックアウト》
《鑑定結果:鑑定》
《備考:生物や無機物など関係なくレベルに応じて詳細な情報を知ることが出来る。※自身に関してはその全てを知る事ができる。形式・任意発動》
《鑑定結果:契約魔法》
《備考:契約などの際に使用。契約内容に違反した者に、契約時に交わした罰則を負わせる》
《鑑定結果:召喚魔法》
《備考:召喚契約を行った召喚獣などを任意に召喚し従えることができる》
《鑑定結果:人形創造》
《備考:素材を用意し魔力を流す事で、自身の命令を聞く人形を創造できる。※ただ素材が無くても魔力を大量に消費することで創造することも可能である。人形の性能はスキルレベルや使用した素材や込めた魔力量で変化する。》
《鑑定結果:指揮》
《備考:集団を指揮する時に補正。形式・常時発動》
《鑑定結果:テレパシー》
《備考:レベルに応じた人数と遠距離で会話が可能。形式・任意発動》
《鑑定結果:集団強化》
《備考:自身が所属・管理する集団にレベルに応じた強化を発生させる。形式・任意発動》
ここまでがスキルの鑑定結果である。
それを確認した彰吾はまた疲れたように小さく息を吐き出して少し考える。
「ふぅ…理解はできるけど、さすがにこの量はやっぱり疲れるな。あと魔法系とかは形式についての説明はないんだな。確かに、効果だけでも任意なのはまるわかりだし、なくても困らないけど…基準が良くわからん」
さすがにこれだけ大量のスキル効果を一気に確認した彰吾も疲れたようで、鑑定結果から少し目を逸らしてから考える。考えるのは今見たスキルの効果についてで、必死に頭の中で整理していた。
(だいたいは予想通りの効果だった。特に後付けで習得したスキルの効果は問題ない。ただ人形創造に関しては効果に対してSPが低いのが気になる所だな…何か致命的なデメリットがあるのか、それとも元から珍しくないスキルだからか…あるいはもっと別の何か理由が……)
元々名前だけ見て効果の確認はしていなかった彰吾としては、今回の鑑定結果は予想通りで問題はさほどなかった。ただ1つだけ人形創造だけが効果に対して消費SPが少なく、しかもユニークスキルですらなかった事が気になっていた。
しかしいくら考えたところでこの世界に来たばかりで、スキルすら使った事の無い彰吾がいくら考えてもどうにかなる問題でもなかった。その事に彰吾もすぐに気が付いて諦めたが、どこかスッキリしたような晴れやかな笑顔を浮かべていた。
「うん!考えても分からないしな。とりあえずまだ二種類も鑑定が残ってるし、深く考えるのは全部終わってから。まだ興味があったら考えよう」
明るい声でそう言った彰吾はいろいろ吹っ切れたようで、考えるのを完全に後回しにして、次のユニークスキルや称号の鑑定結果を確認する。
《鑑定結果:天武》
《備考:天に届く可能性を秘めた武の才能。武器・体術などの武に属する全てに適性極大アップ》
《鑑定結果:天魔》
《備考:天に届く可能性を秘めた魔の才能。魔法・魔力などの魔に属する全てに適性極大アップ》
《鑑定結果:天技》
《備考:天に届く可能性を秘めた技の才能。身体操作・生産などの技に属する全てに適性極大アップ》
《鑑定結果:天智》
《備考:天に届く可能性を秘めた智の才能。記憶・思考などの智に属する全てに適性極大アップ》
《鑑定結果:怠惰》
《備考:怠惰に過ごした者の証明。怠惰に過ごすほどに能力すべてを超強化・自身が動かずに仲間に指示した時、指示を受けた仲間の能力強化。戦闘時は周囲に常にマイナスの力を放出して、敵に対して全能力弱体化・虚弱・睡魔・空腹などの状態異常を発生させる》
《鑑定結果:魔王》
《備考:魔なる王。魔力強化・威圧・魔剣創造・眷族化・魔王魔法の複合スキル》
《鑑定結果:魔王城・創造》
《備考:魔王の居城を創造するための力。作り出される城は使用者の魔王としての資質、そして意志の強さによって決まる。一度使用すると消滅してしまう》
《鑑定結果:傲慢》
《備考:傲慢な者の証明。自身よりレベルの低い敵の攻撃無効化。自身の能力値×配下の数だけ戦闘時に強化・反逆した配下のスキルを剥奪できる。相手を屈服させると強制的に配下にする事ができる(※人間は契約・魔物はテイムと言う分類として扱われる)》
以上がユニークスキルの鑑定結果となって、それを確認した彰吾は何とも言えない難しい表情を浮かべていた。
「……なんと言うか、普通のスキルもそうだけど説明がちゃんとしているのかしていないのか微妙なんだよな。まぁ効果はわかったし問題ないか!」
鑑定結果の内容が少し気になったようだが彰吾は効果はわかったから問題ないと判断した。それよりも分かっている範囲でのスキルについて考えることにしたのだ。
「なんとなく怠惰があったし傲慢も習得したんだけど、両方共が配下がいてこそ効果を発揮するんだよな…今はほとんど効果なし!でもこれ、人形にも効果があるのかは検証の必要があるな。もし効果があれば今後の予定をかなり楽になるだろうし…」
スキルは習得して鑑定するまでは効果が分からず名称で気になったり、有用に思った物を彰吾は習得していた。だが詳細な効果を知った今は本当に使えるか少し不安に思ったのだ。
それでも使えないと簡単に判断する事はせず、上手い使い道がないかと検証してみようと思っていた。
「他のスキルも使い道が微妙に分かり難いのもあるけど、概ね予想通りの効果だな。後は単純に鑑定の結果がやっぱり見難いのがどうにかならないものか、能力値の説明はまだしもスキルの説明も備考なのは一瞬止まる…」
結局すぐに検証するわけでもなく、だいたいのスキルは予想していた通りの効果だったので彰吾は今は考えるのを一旦止めた。ただそれでも鑑定のスキルは思っていたのと少し違ったためか、見る時に小さな違和感があってそこで一瞬思考が止まるのが彰吾は気になっているようだった。
「どうにかできるスキルでもあればいいけど、この問題もすぐにどうにかなるような物でもないか…しかたない。スキルを育てれば解決するかもしれないし、今後の変化に期待するとしよう」
考えても結論がすぐに出るような事でもないと彰吾は割り切ると、この後はどうしようかと考えて目の前の湖を見つめる。
「とりあえず水場はいいとしても、やっぱり住む場所が必要だし『魔王城・創造』を使ってどうにかするとして、その前に一応この辺りの地形は確認しておくべきか…」
そう言って彰吾は周囲を軽く見回すと生えている木の中から一番立派な物を選んで軽く叩いて確認して、満足そうに頷くと足をかけて勢いよく登っていく。
木を登っていく彰吾の動きはどこか慣れているようでスムーズに頂上にたどり着いた。
「よいしょ…っと、これで見えるかなって、おぉ~~!」
登り切った彰吾は改めてちゃんと見回した周囲の光景に感動したように声を上げた。
地上で軽く見たように右側には雲を突き抜けるほどの標高をもつ山が幾つも並んでいて、左側には岩山が立ち並び遠目には確認しにくいが多数のドラゴンのような影が見え、更に岩肌にはキラキラと何かが光を反射しているようだった。
そして目の前の湖は上から見るとかなりの広さを誇って、端を沿って視線を動かすと改めて気が付く事があった。
「湖が目の前にあるんじゃなくて、ここが湖の中心だったのか…」
彰吾が今居る場所が広大な湖の中心にある大きな浮島だったのだ。浮島とは言っても湖自体の広さが広大で、それに比例するように島の広さもかなりの物で小さな街は入りそうな大きさだった。
「……うん、これは使えるな…」
木の上から細かく湖の大きさ、浮島の大きさを確認した彰吾は不敵にニヤリと笑みを浮かべるとスルスルと滑るように降りていく。
地面へと着いた彰吾は見た感じ島の真ん中だと思えるところへと向かった。
「この辺でいいか?さ~て、魔王としての資質は知らないけど意志の強さか…」
目的の場所へと着いた彰吾はそう言うと真剣な表情で目を閉じて神経を研ぎ澄ませる。思い浮かべるのは自分のやるべき事、などではなく自分の望む事を突き詰めていくのだ。
しばらく集中して時間が経つと生きているのか心配になるほど微動だにしなかった彰吾はゆっくりと目を開くと、まるで決まっていたようにその口は自然に動き出した。
『我望む、永劫に廃れる事のない堅城を』
一言紡がれると同時に彰吾の体から今までにない程の魔力が周囲へと放たれる。
『我求める、危機のないの安寧を』
二言目が紡がれると魔力の質が攻撃的な物から暖かな、安らぎを与える物へと変化して野生動物たちが集まって来る。
『我は安らぎの場所を何より望む者なり』
三言目が紡がれると魔力は彰吾の周囲へと収束して一定の範囲を包み込む。
『我の力より創造されよ、不滅の魔城』
《魔王城・創造》
そして最後の言葉が紡がれたその瞬間、集まっていた魔力は周囲へと解放されて湖を含んだ範囲まで拡散していった。
いや、拡散したなどと言う優しい物では無く。放たれた魔力はその土地に地味込むように浸食して行き巨大な円形の魔法陣を映し出して周囲は黒い光に飲み込まれた。
この日、世界で覇を唱えていた人類に初めての脅威となる存在が根を下ろしたのだ。
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