空白の秋

らきむぼん

空白の秋

 空白の秋

              らきむぼん

              

 部屋のドアを開ける音が聞こえた。

 ぼくはベッドで横になりながら、こっそり入ってきたパパを見る。

 ぼくのパパはサンタクロースだ。

 パパはもしかしたら気付いていないかもしれないけれど、ぼくはもうとっくにパパがサンタさんだって知ってるよ。

 今年は僕が春から欲しがっていたゲームを買ってくれたんだよね。

 今年の夏はぼくの好きなサッカーチームのユニフォームを着て、二人でテレビの前で応援したね。

 すごく思い出に残っているから、ぼくは今日もあの時のユニフォームを着ているよ。

 去年のクリスマスはからだを壊して入院していたけれど、やさしいパパは病室にプレゼントを持ってきてくれた。

 素敵な思い出だけれど、今年はぼくとパパのおうちでクリスマスを迎えられて、もっと嬉しい。

 でも、来年はきっと僕のことは忘れてね。

 もう僕の部屋で泣かないでね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

空白の秋 らきむぼん @x0raki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ