第37話これは本当の情報ですかっ!?
そして一通り審判からの説明が終わると虎の場に集められた参加者は審判の指示に従い各々好きな場所へと散らばって行く。
その間女性陣は闘技場の外側にある観覧席へ移動し、甲高い声で応援してくれているのが見える。
「旦那様ぁーこんな奴ら瞬殺して外の出店で買い食いしようではないかぁーっ!!」
「ご主人様のカッコいいところが見たいですぅーっ!!」
「ダーリン早く終わらしてイチャイチャしましょーっ!!」
「まったく、わたくしの婚約者でもあるのですから、こんな雑魚達に遅れを取ったら許しませんわよっ!!」
「夫さまぁーっ愛してますぅーっ!!」
「何どさくさに紛れてお兄ちゃんに求愛してんのよこのアバズレっ!!お兄ちゃんっ!!私が一番誰よりも愛しているんだからねーっ!!」
しかしながら応援してくれるのは有難いのだが、彼女達が応援する度に会場のヘイトが自分へと、タダでさえ集まっていたのが更に多く、そして強く集まりだしているので是非とも今すぐその聞くだけでも恥ずかしい応援を辞めて頂きたいものである。
てか、そもそも妹よ、お前はこちらの世界にいて良いのか?学校はどうした?両親には一言言ってから来てんだろうな?
等と思うものの、口にはしない。
口にした所で妹を含めて俺の周りの女性陣がまともになるとは到底思えない上に、それでまともになってくれるのであれば既に実践している。
俺ができる事と言えば、ただただ己の女運を呪うばかりである。
そして気が付けば俺を囲むように筋肉の壁が出来上がっていた。
「よう兄ちゃん。えらいモテモテだな」
「そんで彼女たちが言うには、俺たちは雑魚だって?」
「こんな、殴れば折れるような貧相な体でよく言えたもんだなぁ」
「むしろ逆に女性達に騙されたんじゃないのか?」
そして男たちは各々言いたいことを言った後腹を抱えて笑い出す。
別にそれで腹が立つとかはないのだが、だからと言って鬱陶しいくない訳ではない。
喋る度に飛び散ってくる唾、触って来るたびにヌルヌルとする汗や油、そしてお風呂に入っていないのかほのかに漂う悪臭。
「うへぁ………」
鬱陶しくないわけが無い。
と、言うかこいつら本当に学生かどうか疑いたく成程老けているんだが?全員三十前後にしか見えない。
流石異世界である。
「それでは、初めっ!!」
「「「「「「「「「「ぐべはぁっ!!」」」」」」」」」」
「「「「「「きゃぁーっ!!カッコいいーっ!!」」」」」」
取り敢えず、早くこの予選を終わらしたいので試合開始と同時に俺の能力の一つを使い一瞬にして全員を場外へとたたき出してやる。
「審判、ジャッジを」
「………っ!受付番号588番、合格っ!」
そして難なく予選は突破出来たものの観客席から聞こえる黄色い声援は地味に恥ずかしいものであると思うのであった。
◆
『さぁっ!いよいよやって来ました武芸大会本戦っ!今年も三国より強者たちがこの地へ集まってきましたっ!そしてもちろん今日この場には昨年の覇者であるレミリア・グランデル様も第一シードにて参加されておりますっ!!』
予選の翌日、本戦へと出場するメンバーとして俺は今闘技場の控室へと来ていたのだが、恐らく拡声できる魔道具を駆使しているのか司会の声がここまで聞こえてくる。
『そして今年は何といってもは四年に一度開催される、学生以外も参加可能であるフリーの部門が翌日開催されますのでこちらの方もぜひ観戦頂ければと思いますっ!!そして今年は何と、フリーの部にはあの白銀の白雪ヒルデガルド・ランゲージ様の参加を確認されておりますっ!!これは夢の対決カードであるヒルデガルド・ランゲージ様とレミリア・グランデル様との対決が見られるのではと、私は今からワクワクが止まりませんっ!!。ちなみに学生の部ベスト八まで上り詰めた方はフリーの部への参加が許可されますので学生の皆様も憧れの方と刃を交わえる事が出来るまたとないチャンスですので是非頑張ってくださいねっ!!』
一瞬司会の言葉を聞きベスト十六でサレンダーでもしようかと思っていたのだが参加が許可されるだけで強制ではないのならば良いかと判断する。
ちなみに団体の部は四日目より開催予定である。
そして合計五日間の総合順位を計算し、六日目に各学園の順位が発表されるという事らしいが、団体戦には出るつもりは毛頭ないので、出る予定の学生には適当に頑張ってもらいたい限りである。
『それでは第一試合────』
そんな事を考えていたらどうやら武闘大会がついに始まったみたいであり、試合に参加する選手の名乗りを司会が上げた後、会場は大きな歓声に包まれるのであった。
◆
『それではこれより本日第四試合を始めますっ!!選手は闘技場中央へと移動してくださいっ!!東側っ!帝国立魔術学園在籍、クロードっ!!え?あ、補足情報がある?分かりました。クロードさんの補足情報ですっ!!なななんとっ!!あのレミリア・グランデル様のご婚約者様のようですっ!!って、ええええぇぇぇぇぇぇぇえええっ!!!!!???これは本当の情報ですかっ!?え?レミリア様本人が言っていたので間違いないっ!?会場にご来場の観客の皆さまっ!間違いないようですっ!!』
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