第29話否定し続けていくと心に誓うのであった
ストックが切れたので明日以降更新頻度が落ちます。
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そして俺が勇者しか扱えない軌跡、聖剣を扱う姿を見てそれが何を意味するのか理解できない程この元自称勇者であるラインハルトはバカでは無かったようである。
むしろ他人が勇者の証である聖剣を手にし、自分は扱えないという現実がラインハルトを正常な判断を、もう自分に勇者と言うスキルは無いと言う事を理解できたのかもしれない。
そう思うと何とも皮肉な話である。
「そ、そんな馬鹿な………」
「ですから言ったではないですか。私は正真正銘本物の女神本人であると、これで理解できましたか?あとクロード様の妻でもございます」
そんなラインハルトを今度は自称女神───いや、自ら勇者である事を証明できなかったラインハルトは違い女神である事を証明した女性がラインハルトへ、自分が女神本人であると、勇者がけして逆らってはいけなかった人物(柱)であると自慢げに話しかける。
俺の妻である事も。
さすがにそればかりは肯定できない為俺の妻であるという部分は即座に否定するのだが俺の妻と言った瞬間周りの歓声が凄まじい物であり、俺の抗議の言葉は軽く吹き飛ばされてしまう。
周りの兵士達からすれば帝国の姫様の夫である妻の一人が本物の女神だと言うのだからその凄まじい歓声も致し方ないのかもしれないが、俺はそもそも今俺の右隣で腕を絡めて幸せそうにし「まさか本当に女神様だったとはっ!! 惚れなおしたぞっ我が旦那様!!」などとのたまっているレミリアとの結婚を受け入れるなどとは一言も言っていないのである。
この件に関しては俺は、加害者たちが思うようになる世界など間違っていると折れずに否定し続けていくと心に誓うのであった。
◆
「お疲れさまでしたわ、クロード様」
「あぁ、いろんな意味で疲れたわ本当に」
自称勇者ラインハルトとの戦闘と呼べるのか微妙な戦闘をしたあの日より早三日、今現在は王国との国境近くの領地の現領主でもあるマリアの家で休養を取らせて頂いている。
こうして見ると出会った当初は地の底であったマリアの評価も今ではうなぎ登りであり俺の周りの女性陣の中では、ある一点を除いて一番まともであると思うのだから不思議である。
ちなみにそのある一点とは、獣人故の性なのかこのマリア・フレールは匂いフェチであったらしく洗濯に出した俺の衣服、主に下着をメイドに確保させ夜な夜な嗅いで慰めている事を俺は知っている。
というよりもこの家のメイドが確固たる証拠でもって俺に教えてくれたのだから救えない。
その証拠と言うのが、マリアが俺の下着で慰めている光景を何も知らない俺を連れてきてマリアの部屋を覗ける細工(前世で言うマジックミラーの様な仕組み)を施している隣の部屋に取って付けたような言い訳で呼び出すとその光景を見せつけてきたのである。
そのうえで件のメイドが「お嬢様をその眼による目視にて視姦とはいえ汚した責任は取っていただきますから。勿論本日の証拠は我々の手にある事をゆめゆめお忘れなきよう。 もしかしたらその証拠が町中にばら撒かれるといった事にならなければ良いですね」と俺の耳元で囁いたあの時の恐怖を俺は恐らく一生忘れない。
そして、昨日の事を思い出してしまい気まずさと罪悪感、照れや性欲など様々な後ろめたい感情のせいで想像以上に意識してしまい目の前で話しかけてくれるマリアの目を見て喋る事が出来ない。
これではただの童貞のようではないかと自分に言い聞かせるもそこはやはり悲しいかな男の性。
意識しない様に意識すれば意識するほど、逆にマリアの事を意識してしまうといった悪循環に陥ってしまう。
もうこのまま流れと感情に任せて行くところまで行ってしまえと、なんだかんだでマリアは俺の形式上婚約者である為婚姻前の蜜事など結婚してしまえばやっていないのと同義である等々、さまざまな言い訳を頭の中で考えてはそれを鋼の意思で追いやって行く。
いまこうして何とか欲に負けず自分を律する事ができる理由は、俺を嵌めたメイドの思惑通りに進んでしまうのが、なんだかメイドの掌の上で転がされているみたいで嫌だというプライドと、ここで一線を越えてしまった後ろにはレミリア、ヒルデガルド、シエルという変態が待ち受けておりそのまま全員と結婚というある種の恐怖のお陰であろう。
一応これでもレミリア、ヒルデガルド、シエル達にはここ異世界へ転生してからというもの何かと様々な事を───それこそこの国の常識など───教えてもらいかなり助かった上、一人異世界へ飛ばされて誰も知らない何も知らない世界で人恋しさに潰れずにここまで来れたのはなんだかんだでこの三人のお陰であると思っている為一応は感謝をしてはいるのだが、こと結婚となってしまうとそれはそれこれはこれでまた話は別問題である。
なんといっても結婚は墓場であると俺自身が一度体験している。
それに童貞だったあの頃の様に感情に身を任せてしまうとどうなってしまうのか身をもって思い知らされたのである。
もうあの頃と同じ轍は踏まないと心に誓っている。
誓ってはいるのだが、誓ったからといって男性としての欲が無くなってしまう訳ではない。
これはおれの欲と誓いの戦いでもあるのだ。
そもそも、レミリア、ヒルデガルド、シエル、そしてマリアと言う女性達の目が常にある状況で娼婦すら利用できないどころか自家発電などもっての外というこの環境こそがおれの欲望の増大を日々日々加速させて行くのである。
もういっその事遠い異国まで赴き娼婦でこの欲を発散しても良いのではないか?とすら思ってしまうのだが、俺の第六感がそれは悪手であると、罠であると警告をけたかましく鳴らして来る。
それはやれば必ずバレるという確信にも近い予測であり、もしクロードが他の自称婚約者達から隠れて何処で、いくら離れていようとも間違いなくバレてしまい、その結果どうなってしまうかなど馬鹿でも導き出せるという物である。
恐らくそれを理由に一線を越えようとしてくる事など、その光景が鮮明に思い浮かべる事ができてしまう程に簡単な答えである。
俺のこの糞ぶっ壊れたチート能力と身体能力のせいで偶に忘れかけてしまいそうになるのだがあの変態共は変態と言えどこの世界では英雄と言っても過言ではないほどの能力を各々が持っているのである。
バレないなどという希望的観測は捨てるべきであろう。
そもその前世世界であっても男性のそういった事情が隠し通せるのは凄まじく難しいのである。
一般女性でさえこれなのである。
そこに過度の変態という性癖と人類を超越した個々能力を持つ彼女たち変態にバレない通り等無いの考えるべきなのだ。
そしてなんだかんだで今のこの状況
しかし。
しかしである。
俺も一人間であり、同時に男でもある。
結婚願望は無いどころかむしろしたくないとさえ思うのだが、生物としての欲望が無くなった訳ではない。
睡眠を欲し、食を欲し、そして性を欲してしまう。
それが人間として生きるという事である。
では、一人で処理すればとも思うがまずその場合は間違いなく変態が覗いていると断言できる。
そして除いたうえでそれを手札とし揺さぶりをかけてくるのだ。
そんな状況下で生活していればどうなるかなどいい歳した俺でなくとも中学生くらいの年齢であれば皆わかる生理現象が待ち受けている。
そう、夢の中で果てるのである。
その結果どうなるかなど考えたくもない。
しかしこうも毎日毎日性の部分を刺激され我慢する日々、そういう状況下で目元麗しい女性のしかも自称俺の婚約者である女性の一人プレイを目撃すればもう我慢も限界と言えよう。
間違いなく今夜眠れば夢の中で爆発する。
どうするどうするどうするどうする。
ひとり悶々と考えを巡らせても良い答えなど出ず、むしろ逆に俺自身の弱い部分が「楽になれよ。なんで我慢する必要があるんだ?あいつらは元嫁とは違う人間であり当然元嫁とは違う結婚生活、それこそ幸せな未来が待っているかもしれないだろう?」と俺の鋼の意思をガリガリと削って行き負けそうになるのをぐっと堪える。
こういう時は一度冷静になり甘い物を食べ苦いコーヒーでも飲んで落ち着こう。
そう思い俺はいつものように自身の能力を使い腕だけ次元を超え買い置きしていたカントリーマダムを取り出す。
ん?ちょっと待てよ………下の処理は向こうでやってくれば良いのでは?
そして今ここに現れる天才が一人。
向こうの世界では既に死んだことになっているため戸籍は勿論個人番号も、そして当然保険証や免許証等も既に無くなってしまっているために向こうでの行動は何かあっては面倒な上に身分を証明できないという事の生き辛さというストレスを感じたくないが為にこの異世界中心の生活をしていたのだが………なにもきっちりと仕訳けて行動するのではなく臨機応変に使い分ければ良いのではないか。
もちろん向こうの世界へ行くという事は知人と会うかもしれないというリスクもある上に、一度行った場所にしか行けないという性質上その知人にあう確率も格段に跳ね上がる為今まで躊躇していたに過ぎない。
そもそもの問題としていつ俺の契約しているアパートが引き払われ、今まで見たいに腕だけを向こうの世界へという訳にもいかなくなるであろうし、買い置きの数々も最近心もとなくなってきているのでここらあたりが結局のところ転換期なのであろう。
そう思い立ったが吉日。
そして俺は異世界へ飛ばされたその日の夜にすぐさま銀行から引き落とした六百万という日本円から数万円を握りしめて風俗へ向かう。
今は何も考えない。
これから身分を証明できる方法が無い俺がどうやって日本円を稼ごうかなど、そういった考えは今ばかりは無粋という物である。
そういうものは事が終わった後に考えれば良いではないか。
それにどうせこの金は元嫁と間男から掻っ攫ったあぶく銭である。
使うものかと思っていたものでもある為、何なら逆に今全て使い果たしても良いとさえ思える。
そう思ってしまえば今までの縛っていた数々の枷から解き放たれて、ただそれだけでも非常に開放感が凄まじく晴れやかな気分である。
そして足取り軽やかに向かうは風俗街。
今の俺を止めるものなどこの世界には何人たりとも嫌やしない。
レミリアもヒルデガルドもシエルもマリアも居ない。
俺は今自由であるっ!!
「ふははははっ!!エロと戦争は科学の発展には欠かせないと言われる程の熱量を持っている事を我が婚約者達は甘く見過ぎて俺の監視が甘くなってしまったようだなっ!!勝利は我が手の中にぐぼへあっ!?」
そして声高々に勝利宣言をした瞬間、腹にドスンという音と共に重い衝撃が伝わってくる。
「忠之………忠之っ!?忠之お兄ちゃんだよねっ!!どこ行ってたのっ!!ていうか死んでたんじゃないのっ!?え?ナニコレっ!?幻覚っ?夢っ?もう何も分んないけど夢でも何でもいいっ!!やっと見つけたっ!!」
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