第22話姉様の秘密

主人公の能力のおさらい


●想像出来るものは実現可能

●想像出来ないものは実現不可(なお本家キャラクターは自分の死を想像できない為不死身です。もちろん主人公も)

●余波で空間を崩壊出来るとてつもない速さで移動可能(光の速さとかチャチなもんじゃぁ断じて無い。兎に角何か恐ろしいetc)

●上記よりも遅い攻撃はナノレベルで回避可能の動体視力及び回避能力

●血液を使った移動

●身体からメスを出せる

●掌の傷から剣を出せる

●血液で武器を作れる

●何処からともなくカントリーマダムを出せる(おいおい何故出せるかは説明致します)


まだまだ意味わかんないほどふざけた能力があるのでそちらもおいおい追加して行きます。

そして何のキャラか分かったよーって方で上記の内容に「ここは詳しくはこうだよー」って訂正箇所等ありましたら補足頂けると有難いです。^ ^






 そしてクロードは「周りを見てみな」と言うと赤い結界を解く。


「クロムエル様っ、大丈夫でしたでしょうかっ!?この男に何かされませんでしたかっ!?」

「何かされたのであればわたくし達にお申し付け頂ければあのクズを闇ギルドに暗殺依頼をさせて頂きますのでっ!!」

「た、例えクロムエル様が汚されたとしてもわたくし達はクロムエル様の味方ですからっ!!」


 するとそこには俺の取り巻き達が心配そうに駆けつけており、その中でも常に俺の周りにいる取り巻きのまとめ役件リーダー的存在三名が俺の安否を確認してくる。

 しかし、彼女たちのその言葉から少なからず違和感を感じてしまう。

 まるで俺が女性であることを知っており、クロードに何かされていないか心配をしているような、そんな違和感を感じてしまう。


「お、お前たちは俺が女性であることを………」

「はいっ!存じておりましたっ!!騙すような事をしてしまい誠に申し訳ございませんっ!!この罰はなんなりとお申し付けくださいっ!!」


 結局、周りを見ることをせず自分で自分の事を肯定する事すらできていなかった事に改めて気づかされた。

 そしてその事に気付かされたクロードをみると「ヅカかよ」と良く分からない事を言っていたのだが、なぜかその顔を見ると俺の胸の鼓動が激しく脈打ち始めるのであった。





 俺は今、中庭にて昼食を取り先日の事を思い返していた。

 異世界まで来てまさかのヅカの様な光景に若干引いてしまってはいるが、何とかクロムエルの裸を有耶無耶にできたことは大きいと俺は思っている。

 いや、これらすべてもこの俺天才的頭脳を持っている俺だからこそ無意識にそうなる事を計算していたからこその有耶無耶にできたという結果であろう。


 自分で自分が恐ろしい。


 しかし、当のクロムエルは今現在俺の方まで歩いて来ているのだが一体全体俺が何をしたというのか。

 昨日の裸の件は有耶無耶になったはずであるのでそれを理由にここまで来るとは考えにくいはずだ。はずですよね。はずであれ。お願いします何でもしますから。


「く、クロードっ!!」

「何だ?」


 そしてクロムエルは迷うことなく俺の所まで来ると開口一番話しかけてくる。

 しかし俺は何も気にしていない風を装いぶっきらぼうに返事を返す。

 ちなみにレミリアは公務、シエルは相変わらずギルド、ヒルデガルドは金銭を稼ぎにダンジョンへ行くついでに実家へ帰っているのでこの場には珍しくも俺とクロムエルだけである。

 厳密に言うと俺とクロムエルを遠くから観察しているファンクラブの面々がいるのだが………。

「………」

「俺に何か用か?」

「クロード……あの、その……だな………っ、あ、ありがとうっ!」


 中庭の端で昼食を取っている俺の所までわざわざ来てまで言いたいことがあるだろうのクロムエルなのだが顔を真っ赤にし両の指先を合わせもじもじしたり、何か言おうと口を開いたかと思うと閉じたりと一向に話してこない為俺から促してやると始めは相変わらずもじもじしていたのだが意を決した表情をしたかと思うと感謝の言葉を述べ頭を下げててくる。


「何の感謝なのかは分からないのだが、まぁ感謝するというのであれば受け取っておくよ」

「ありがとう。そ、それとだな、一つクロードにお願いがあるのだが聞いてくれるだろうか………」


 俺としては何かしてやった覚えはない上にむしろ叩きのめしたのだから感謝も言葉をのクロムエルから言われる筋合いはない上にむしろ迷惑をかけた件について謝罪の一言でも欲しいところなのだが空気を読む日本人である俺はその事は口に出さず素直に感謝の言葉を受け取るとのクロムエルは安心と嬉しさが混じった表情をしていたのでそれが見えたのなら今はそれで良しとしよう。

 次に何か迷惑を被った場合は問答無用で謝罪はさせるのだが。


 しかし当ののクロムエルが俺へ言いたいことは感謝の言葉だけではなかったようで、むしろ次の言葉こそ本命であるというような表情にて俺を上目遣いで見上げてくる。

 

 なまじのクロムエルは普通に美人である為ギャップも相まってその上目遣いがいかに攻撃力の高い行動であると理解しているのであろうか?

 理解していての上目遣いをしているというのであれば実にあざとい行動と言うほかない。


「まぁ、聞くだけなら聞くけど?」

「ありがとう。そのだな………お、おお、おれ………俺と友達になってくださいっ!」


 そして聞くだけならタダだと思い一応聞くだけ聞くことにしたのだが、まるで今から愛の告白をするのかって雰囲気を醸し出し始めたのでやってしまったと思ったその時顔を茹蛸のように真っ赤にしたクロムエルから出た言葉は愛の告白と比べれば何とも可愛らしい言葉であった。

 あの表情からまさか友達になってほしいと言われ、愛の告白だと勘違いし身構えていた自分の自意識過剰さに何だかおかしくなりつい声を出して笑ってしまう。


「わ、笑わなくても良いだろっ!?これでも勇気をだしていったのだぞっ!!」

「すまんすまん、お前じゃなくて俺自身の事で笑ったんでありお前のその言葉を笑ったんじゃないからそう怒るなよ」 


「そ、そうか。すまない」

「まあそれは置いといてだ、一体どういう心境の変化何だよ。それこそ昨日まで俺はお前に何故だか知らないが心底嫌われていたと思うのだが?」


 人に好かれる事自体はむしろ嬉しいと思うし良い事であるとは思うのだがその相手が俺の事を嫌っておりまさに昨日喧嘩を売ってきた相手だとすると何かあると思うし何か無くても気持ち悪いと思うのは仕方のない事であろう。

 まだレミリアなどの件もあるため愛の告白だと言われたほうが逆に納得できるというものである。

 

 ちなみに友人からは良く「お前ってデリカシーを稀にどこかに置き忘れているときあるよな」などと言われていたのだが俺がデリカシーを置き忘れたのではなくそうさせた状況及び本人が悪いのであってなぜ俺が悪いみたいな表現をされなければならないのかと、そのような他愛もない会話を繰り広げていた事を思い出し少しだけ懐かしく思う。


「……お………はじ……めて………だから。そ、それに気付かせてくれたから……」

「え?何だって?」


 しかしクロムエルは顔を今以上に真っ赤にするとうつむきながらぽそぽそと喋りだすが声が小さくて聞き取れない為思わずどこぞのハーレム主人公のように聞き返してしまう。


「お前がっ、初めて俺の秘密を知って気持ち悪いと言わなかった人だからっ!人間じゃない気持ち悪い何かを見るような目で俺を見て来なかったからっ!俺の周りには俺の事を気持ち悪いと思っていない人たちがいるって事に気付かせてくれたからっ!………俺自身が俺を気持ち悪い者であると思っている事に気付かせてくれたから………だから、そんなお前だから俺はお前と友達になりたいんだ………」


 始めは叫ぶように、そして最後の方は語るように俺と友達になりたいと思う理由を話すクロムエル。

 

「なるほどなぁ……俺はまあ性癖などは至って普通だと思うからお前の気持ちを十全に理解できるかと言われれば無理な話なんだが、とりあえず明日はこの場所で一緒に昼飯を食おうぜ」


 俺の返事を聞ききょとんとするクロムエルはあざと可愛いのだが、俺のイエスでもノーでもない返答に戸惑っているようである。


「俺さ、こういった学園で一緒に昼飯を食べる相手は友達だと俺は思っているんだけど?」


 一瞬俺が言った言葉の意味が理解できていなかったのかクロムエルは変わらずきょとんとしていたのだが、次の瞬間クロムエルはまさに花が咲いたような笑顔に変わると俺に抱き付き元気よく返事をするのであった。





「ね、姉様………もう行っちゃうの?」


 最近姉様の様子が可笑しい。

 何が可笑しいと言われるとキリが無いのだが、まず挙げるとすれば家に帰って来ないのである。

 一瞬男性関係かとも思ったのだがあの姉様に男ができる可能性を考えた時、その可能性を捨てた。

 だから余計に家に帰って来ないという事が可笑しく見えてくるのである。


 そして次に挙げるとすれば家に帰って来ないにも関わらずクエストを受注していないようであるという事である。

 これではまるで俗にいう姉の嫌う流浪者ではないか。

 そして最後に久しぶりに家に帰って来たかと思えばすぐさままたどこかへ出かけようとしているのである。

 

「うん、そうね。ヘレナの顔も見れたし、やり残した事も昨日の晩に全て終わらしましたからね。でも良かったわ。この調子ならあと一か月もすれば体調は万全まで治りそうで」


 そういうと姉様は私の頭をいつものように優しく撫でてくれた。

 以前私は不治の病とされるクケッカ病にかかっており、もう幾ばくかの命であったところをこの姉様がダンジョンから決死の思いで万病に効く不死の一滴というアイテムを取ってきてくれたのである。

 そのおかげで私は、今はこうして死なずに生きていられるのだ。

 あの時ランクSSSであり、いつも白銀に輝く美しいお姉様がボロボロになって帰って来た時の事を考えればこのアイテムがいかに価値が高い物であるかが伺え知れるというものである。

 今はまだ筋肉の衰えを回復させているところでありやっと歩けるようになるくらいにまでは体力が回復してきた所である。


「はいっ!早く体力を回復してまずは学園に復帰できるくらいにはなりたいですっ!」

「その意気ですっ!目指すものがあれば自ずと頑張れるものですので、つらい事があるかもしれませんが頑張りましょうっ!」


 そう言いながら私の頭をなおも撫でてくれる姉様なのだが学園という言葉を発した時私は見逃さなかった。

 今まで着けていなかった姉様の首につけられた革製のチョーカーを愛おしそうに触っている事に。

 

 その何気ない動作に思わず男?と勘繰るもすぐさまそれは無いと考え直し、では性奴隷?と勘繰るもすぐさまそれは無いと考え直す。

 あの姉様に例え奴隷であろうと男の陰などあろうはずがない。

 ならば何だと考えた時奴隷は奴隷でも炭鉱奴隷が頭をよぎる。


「姉様、私に何か隠し事をしてはいませんか?」

「ギクッ!?」


 ああ、これは恐らく当たりであろう。

 姉様は私を不治の病から助ける事と引き換えに炭鉱奴隷となったのであろう。

 それがどのような経緯かはまだ分からないのだがあながち間違いではないと、あの姉様の挙動から見て取れるというものである。

 


 

 

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