第3話 妖狐?良い子?

翌朝、学校に着くと美月がうなだれてた。

「どうしたの?そんな頭抱えて、」

「昨日賽銭を入れるの忘れてて効果があるのか全

 く分からないから全然書けなかった...」

そういえば確かに昨日美月は神社の写真を撮って帰ってしまった。そんなに悲しむとは...

「...そういえば、昨日巫女さんが5円分叶えたって

 言ってたけど颯何かお願いしたの?」

「えっ!?うーんまぁ...ちょっとね...」

言えない、流石に言えない、ネタにされる事が分かっている。彼女の凄いところは知った情報で脅迫し他の人の新たな情報を得る事があると言うところだ。それをするのは僕とマサにのみだが..

「ふーん...まぁいいけどさ、また行くだろうから

 その時は付き合ってね!」

「分かったよ...ほらこれでも食べて元気出しなさ

 い?」

昨日神社からの帰りに油揚げを買いに行った。その時買ったチョコを渡した。僕が食べるつもりだったがまぁいいだろう。

「本当に!?ありがとう颯!いいとこあるじゃ

 ん!」

いいとこあるじゃん!は余計じゃん...タイミングがいいのか遥香もきた。

「おはよう!昨日はどうだった?」

「おはよう、全然ダメだったよぉ...遥香も食べ 

 る?」

「えっ!いいの!?食べる〜!」

12個あったチョコは数秒で無くなった。流石女子

「今度は私とも行こうね?颯」

「分かったよ、付き合いますよ」

「俺もお願いしてみようかな〜」

いつのまにか後ろにいたマサ、その声に驚き椅子から落ちる僕、手を差し伸べる美月と遥香、ちょうど教室に入ってきて混乱している天道さん。

遥香から手を差し伸べられたことを羨み嫉妬の視線を僕に送る遥香の前歯を愛する会。It's chaos.

恋愛成就より運気向上の神社に行ったほうがいいかもしれない...

「ありがとう、美月、遥香、驚かせてごめんね天

 道さん、今すぐ謝れマサ」

「悪かったよ、まさかあんなに驚くとは笑」

「おかげで腰が痛いよ...」

「おはよう、大丈夫?」

「全然大丈夫だよ!ありがとう笑」

「そういやよ、そこの神社の子供、うちの一年だ

 ろ?」

「え?そうなの、マサ?」

「え、美月も颯も知らなかったの?」

「知らないけど」

「知らなかった〜❤️」

「美月は知ってたのな」

「とは言え会ったことはないから誰かわからない

 けどね」

「今度探して見よっか、美月」

「そうだね!」

「えぇ〜私も連れてって〜」

「面白そうやから、私も行きたい!」

「みんなで行きゃあいいだろ!行くのは明日にす

 っか!今日は授業キツめだから帰って寝たい

 し」

「了解、詳しいことは明日決めるか」

「みんなでお出かけ楽しみやね!」

学校の近くの神社に行くだけなのにお出かけと言うのは可愛い、俺ちょろいだろうな...

「じゃあ今日中に神社の子を見つけられたらいい

 ね!」

「今日部活の後輩に聞いてみるよ!」

明日行くのであれば今日は行かなくてもいいかと思ったが「人に嫌われていく呪い」が怖いので

今日も行こう。

放課後、神社に着くと巫女の2人が今か今かと待っていた。

「待ってましたよ!早くください!」

「5円さん!油揚げ!油揚げ!」

氷雨琴子さんの油揚げの言い方すごいな、巻き舌が効きすぎてロシア語に聞こえる。

「だから僕は5円さんじゃないですって」

「だって名前知らないもん...」

そういえばそうだった。とっくに名乗ったものかと

「僕は、天宮颯って言います。5円さんじゃないで

 すからね?」

「分かりました!颯さん!」

「分かりました!5円さん!

分かってないけどもういいや...

カバンから油揚げを出すと目をキラキラさせながら手を差し出してきた。

「はいはい...どうぞ、好花さん、琴子さん」

2人に渡すと勢いよくかぶりつく、これまた数秒で無くなる。女子っていつもお腹空いてるのかな、

「ありがとうございました颯さん!明日もお願い

 します!」

「もっと!もっと!」

「えっ、もしかして毎日?」

「えっ、違うんですか...?」

うるうるとさせた目でこちらを見てくる。それはずるいだろ...

「はぁ...明日友達と来るからその時に何日間分買

 ってきますよ...」

「ありがとうございます!」

出費やべーなこりゃ。

「ところでこの神社って子供がいるんだって?僕 

 と同じ高校の」

「はい!夏鈴さんですね!そろそろ帰ってきます

 よ!ほら!」

後ろを見ると静かそうな女生徒が歩いてきていた

「おかえりなさい!夏鈴さん!」

「夏鈴ちゃん!油揚げもらった!」

2人を見て微笑むが僕を見て下を向いてしまう。

「あの...ここの神社の子ですか?」

「あ、はい...2人がお世話になっているようで...」

「はい、本当に...あ、僕天宮颯って言います!」

「はい...夕立夏鈴です...油揚げありがとうござい

 ます」

「夏鈴さんは私たちがここに住むのを許してくれ

 た恩人なんです!」

「私、夏鈴ちゃんだーい好き」

「ありがとう、2人とも笑」

本当の姉妹のように見える。優しい子なんだな

「そういえば何でこの2人を飼おうと?」

「飼われてません!住んでるだけです!」

「居候だもん!」

自慢することではない

「まぁなんと言うか、呼んじゃったので...」

「呼んだ...?」

「私たちは恋の悩みを抱えた夏鈴さんがこの神

 社で「恋の手伝いをしてくれる仲間がほしい」

 っていうお願いに呼ばれて召喚された狐な

 の!」

「ちょ、ちょっと好花さん!?それはダ

 メ...!」

どんどん顔が真っ赤になっていく夏鈴ちゃん、

かわいそうにこんなこと今あった人にバラされていくなんて...

「ま、まぁ呼んじゃったって意味はよくわかった

 よ!じゃあこの2人が狐って知ってるのは僕と夏

 鈴ちゃんだけかな?」

「多分...そうだと思います。この2人が簡単に話す

 とも思えませんし」

「そういや、何で僕には簡単に教えてくれた

 の?」

「それはねー夏鈴ちゃんの机に...」

「ダメダメダメー!琴子さん何言おうとしてるん

 ですか!」

また何かバラされそうになり焦る夏鈴ちゃん、苦労してるなぁ...

「まぁいいや、あ、連絡先交換しておかない?こ

 の2人の事を相談したいし、徐々に学校の方でも

 話題になってきてるみたいだし、万が一のこと

 があったら嫌だしね」

「...!はい!お願いします!」

急に元気になる夏鈴ちゃん、この子も不思議な子だ。

「じゃあ、これ僕のラインね..じゃあまた明日か 

 な、明日僕友達とここ来る事になってるか

 ら!」

「わかりました!」

「あと、何かあったら学校にいる時、遠慮なく教

 室に来てね!」

「はい!!ありがとうございます!!」

そう言って神社を後にした。2人の事を相談できるのは強い、多分あの子も苦労してるだろうから少しでも力になれればいいな


「やっぱり夏鈴さんの好きな人、あの人だったん

 ですね」

「分かってたから正体バラしたんですね...」

「夏鈴ちゃん怒った?」

「怒ってないですよ、でも下手に人の机の上のも

 のとか話そうとしないでください。」

「はーい」

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