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この国には王族や貴族が侵すことのできない聖域があります。
王家が国を興した際に大きな貢献をした私たちの先祖に与えられた広大な台地です。
貴方が初めてやってきたのは寒い雪の日。
4つ年下の弟として、しばらく家を離れていた母が赤子を連れてきました。
そこにどんなロマンスがあったかは知りませんが、貴方は一族の長の孫として、そして王子として生まれました。
私の実父はすでに死んでいました。記憶にありません。
私を置いてどこかへ行っていた母を詰る声に驚いたのか貴方は泣き出しました。
慌てる私に「あやしてみなさい」と母は赤子を差し出してきます。
私は優しく貴方を抱きしめました。すぐに泣き止みます。
「名前、カクムが付けなさい」
「いいの?」
貴方の温かさ、貴方の匂い。
諦めていた家族が帰ってきました。
私は大きな幸せに包まれ、命を懸けて護る存在をみつけたのです。
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