第47話
「ねえ、クロウ。あのさ……」
「ああ、どう見ても人工的に作られてるよな」
洞窟内を進みながら二人は揃って洞窟内の天井を見上げ、訝しげな表情を浮かべた。等間隔に天井から横向きに吊るされた筒状の物体。ところどころで見られる僅かにへこんだ壁の隣には必ず長方形の板が一枚とその下には正方形の板が九枚規則的に埋め込まれていた。
「と、なるとこれは……」
クロウはカチュアの足を支える手を片方離し、へこんだ壁にあてがい奥へと押してみたが壁はびくともせず、手前に引っ張ろうにも取っ手らしきものは見当たらない。壁の板に何か仕掛けがあるのかと順に押してみたがこちらも反応はなし。
「ニャロウ……」
そう呟いたクロウがカチュアを背負ったまま身体強化を発動し、思い切り壁を蹴りつけると、壁はゆっくりと、だが確実に倒れていった。やはりこのへこんだ壁の奥には部屋があるようだ。舞い上がる土埃の中を慎重に進むクロウに背負われながら部屋の中へと進入したカチュアは、その光景に言葉を失くしその身体を硬直させた。
「なん……だ……コレ」
それはクロウも同じだったようで、搾り出した言葉と共にただただ呆然と部屋の中を眺めていた。
薄い緑色の液体で満たされた円筒状の物体が部屋中を埋め尽くし、その中に浮かぶ人間と思しき生物の顔はどれを見ても同じものだった。
「ク、クロウ……ここ、怖いよ……もう行こう?」
背中で震えるカチュアに無言で頷き返し、踵を返したクロウは逃げるようにその部屋を後にした。途中で同じような扉を見つけても決して開けようとはせず、そのまま歩き続けていたクロウがふと足を止める。
「行き止まり……だね」
カチュアが言うようにこの先に道はなかった。しかし、最初に流れ着いた場所からこの場所までは一本道。となれば途中で見つけた扉のどれかが外へと通じるものだった可能性もある。そう考え仕方なく引き返そうとした瞬間、襲ってきた酷い耳鳴りと頭痛にクロウは顔を顰め目を閉じた。
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