第18話 運命の海
真遊海からメール。
先の桐谷による拓馬誘拐未遂は自分の指示ではないので許して欲しい。桐谷はしっかりとシメておいた。お詫びと言っては何だが今日の午後、ディスティニーシーを借り切ったのでぜひ来てほしい、というものだ。
相変わらず強引というか勝手というか。
これで躍斗が行かなかったらどうするのか、と思いながらも裏は無いのだろうと思う。
何かの策略ならもっと後に引けない状況を作るだろう。
用があれば断れるような状況での誘いに他意はないように思えた。
あのお嬢さんに断られるという発想がないだけかもしれないが……。
しかしあの巨大レジャーランドを貸し切りって……。
ディスティニーシーは以前キュオと行った事もある、遊園地ディスティニーランドの隣にある同じくらいの規模の遊園地。
ランドより大人しめのアトラクションが多く比較的絶叫系が苦手な人も楽しめる。
真遊海に絶叫系が苦手な事はバレていないはずだが、もしかしたらキュオの奴が漏らしたかもしれない。
いずれにせよ、そんな所にまさか二人で入るわけではあるまい。
どう返したものかとメールの文面を眺めていると、背後から声をかけられた。
「この前の彼女?」
彼女じゃないよ、と小さく反論するも声をかけて来た少女美空は聞いていないようだ。
しかし詫びと言うなら、美空にも言えるのではないか?
いわば美空に乱暴しようとしていたのは桐谷の手下なのだ。拓馬はもちろんの事、美空にもその権利はあるはずだし、遊園地という所は大勢で行った方が楽しいものだ。
それに、美空は私生活で悩みを抱えている。気分転換に丁度いい。
「え? 行く行く。前から行ってみたかったの」
思った以上にテンションの上がる美空に少し引きながら、真遊海に連れがいても構わないかと聞いてみる。
二つ返事でオーケー。
せっかくだからキュオにも教えてやろう、とメールアプリを開いた。
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