第6話 車中

『いくぞ』乾が立ち上がる。

乗ってきた車で俺は乾を連れて、そのままステイゴールドに向かうことになった。


俺の頭の中は、自分が負うリスクと、本当に乾は化け物を退治できるのか?といった疑問が答えの出ないまま交互によぎっていた。


運転席には今井がいる、弱さを見せる訳にはいかない。俺は自分が負う怨みに、内心恐怖を抱えながらも、乾にそのことを問えずにいた。


乾は車中「店は1人で入りたいが、樋口さんの立場からして、そういう訳にはいかないか」と話す。


「まあな」短く俺は答えたが、内心店内に入りたくなかった。


「危険は減らしたい、俺と樋口さんの2人で行こう。運転手は車で待機してもらう」今井はガンを飛ばしているが、まったく無視されている、まるで見えない人扱いだ。


「今井、車で待ってろ」俺が命じると、今井は乾にガンを飛ばしたまま「ハイ」と答えた。乾と違って分かり易くて、俺の好きなタイプの人間だ。

少し気が楽になった、ありがとう今井。

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