夏の帰り道

 夕暮れの焼けるような赤が、海に混じり始めた。

 それは今日という日が終わることを告げている。


 今まで、海を満喫していた人々が荷物を持って、少し疲れた顔をして、駅の方に向かって歩いていく。

 そんな人々とすれ違う私は、教科書やらノートやら参考書やらを詰めたリュックを背負っている。

 家に帰る、という行動は同じなのに、何故だか別の行為をしているように見える。


 楽しい夏の人々と、重苦しい夏の私。


 暑さだけが支配する夏の底に、一人取り残されている気がした。

 煌々と輝く太陽が、どうしようもなく憎くて、さっさと沈んでしまえと呪った。

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