愛する貴女について
『私の愛する人は清廉潔白な人でした』
その一文から始まる遺書はまるで小説のようだった。
『愛した人』について、事細かに書いてあった。
出会いも、思い出も、好きなものも、嫌いなものも、癖も。
髪の色も、肌の色も、爪の色も、瞳の色も。
身長も、体重も、視力も、足のサイズも、指のサイズも。
気色悪いほどに、詳しく書いてあった。
でも、その文章は清廉されていて、不快感は感じなかった。
『私の愛する人は花束のような人でした』
遺書はこうやって閉じられていた。
『愛する人』のことは分かったが、『私』のことはわからない、そんな遺書だった。
*三題噺「遺書」「清廉」「花束」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます