「穴、開けてみたくない?」
「気球ってさ、どんな感じなんだと思う?」
「どんな感じって?」
「浮いていく感じとか。見える景色とか。色々」
「うーん、トマトみたいな感じ?」
「何よそれ」
「なんとなく思いついた」
「絶対テキトーでしょ」
「うん」
「真剣に考えてよ」
「真剣かぁ……。あ」
「なになに?」
「気球の風船みたいなところ、カッターかハサミか、そういう尖ったもので穴、開けてみたくない?」
「子供のいたずらみたいな感じで?」
「うん。それを空の上でやったらさ、最高にスリリングじゃない?」
「その発想は普通に怖い」
「あはは、だよね」
「気球に乗りたいな」
「今度、乗りに行こうよ」
「いいね、行こう」
そうして私たちは笑いあった。
*三題噺「気球」「トマト」「カッター」
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