第5話逃走3

硝煙の中をオレは走った。

少女の背中をただひたすら追いかけた。

悲鳴と獣の叫び声の中バタバタと走った。いざ日常で全力疾走すると勝手が違う物だ。足の裏には感触がなく、右足をだしてるのか左足をだしてるのか分からない。舗装されてない石ころだらけの道は、踏みしめるごとに足を滑らせ、オレを一層慌てさせた。


「ど、どこにいくの!」

「馬に乗って逃げるの」

「馬って、そんなもの」

「いいから!、なにも分かんないんでしょ!、黙って着いてきて」


逃げる最中、人影が視界をかすめる、絶望に打ちひしがれる者、動転しただ誰かの名前を叫ぶ者。

時折聞こえる断末魔が耳に飛び込んでくる。


「見えた、まだ残ってる」


少女の視線の先に納屋が見える。


「ローラ様、こちらです!」

「ありがと!」


兵士が一人、少女をなかへ導く。少女は当たり前のように上から返事をし、兵士もそれに答える。


「そいつがこんかいの?」

「ええ、転送者」


兵士の蔑んだめが自分に向けられる。


「速くしろ、すぐ追っ手が来る」


首をしゃくり、房へ促す。


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