第2話 目覚めた先で見つけたもの

(クルルルルルゥ)

(ピャー、ピャー、ピャー)



「あ、朝?」


響き渡る、鳥の囀りと共に目を覚ました。


「え???」

(((ここはどこだ!?)))



目を覚ますとそこは、目の前に広がるのはファンタジー世界でよくあるような壮大な森。


背の高すぎる木から差し込む美しい木漏れ日...空気が綺麗だ。



「どういうことなんだ?」


さっきまで、、さっきまで俺は、メイと観覧車に乗っていたはずだ!


メイと楽しく話していたら、

急に、何もかもが止まって、頭のおかしな女が...


あいつ、別の世界にって言ってたよな..?



まさか、異世界に飛ばされた!?



ハハッ

まさか、まさかだよな..


非現実的だ。


考えれば考えるほど自分の記憶が怪しくなる。

世界5秒前仮説とは言ったものだが、自分の記憶が偽物の可能性もないとは限らない。。



とはいえ、目の前に広がる現実は確かだ。



睡眠薬で眠らされた後、拉致られてどこかの森に置き去りにされたとか。



でも、なんの目的で?

誰がそんなことを??



「ぐぅーーー」


森にお腹の音が盛大に鳴り響いた。


「そう言えば朝からなんも食べてなかった。」


空腹もそうだが、喉がすげぇ乾いてる。



とりあえずと、水の音が聞こえてくる方角に向かって歩きだす。



歩く..

歩く..

歩く..



そして、ようやく辿り着いた。


「お、おお!!!」

「壮大すぎる..!なんて綺麗な景色だ!」


そこは、ナショナルピヨクラシックなどで取り上げられてそうな

壮大な滝。


修学旅行ぐらいでしか、自然の多い場所に行った事がない俺にとってはもったいな過ぎるくらいの絶景だった。



ザーーーー

ザーーーー

ザザーーーー



全ての音をかき消すほどうるさい、降り落ちる滝の音が心地いい。


「あーー!!!!!」

....


「フォーーーー!!!」

柄にもなく、バカみたいに叫ぶ



バサッバサッバサッ



俺が大声を出したせいか、見た事がない、青色の体色をした大きな鳥が羽ばたいた。


さて、喉を潤そうか..と思ったが、コップもない。直接顔をつけて飲むのもマヌケで嫌だな。


よし。


俺は片膝ついて、片手だけで水を救いあげ、あたりを睨むように警戒しながら、水を飲んだ。


どこの兵士だよ..


さーて、喉も潤ったし考えようか。




見知らぬ森にただ一人...

これからどういった行動をとれば良いか?



まず、第一にここはどこなのか?



「あ..そっか、スマホでマップを開けば」


普通、知らない場所に来てしまったら真っ先にやることなんだけどな。



でも仕方ないさ。

なんせ目覚めたら知らない場所にいたんだ。

あまりな体験に通常の思考を失ってただけさ。


カチッ


よし、画面はついた。

「マップマップ..」


何度かスワイプした後、イーグルマップのアイコンをタップ。


ん。、

あれ!?


そういえばさっきから左上の電波のマークが圏外になってんじゃん..



「完全に積んだ..」



そりゃそうか、こんな森の奥深くに電波立ってるわけないもんな。。


今も、通常思考ロスの継続中だったようだ。



本当にやばい...

たった一人どこだかわからない場所で迷子、携帯も繋がらない。



「どうすればいい..。」



とりあえず歩こう。

歩きながらの方が血の巡りが良くなって考えがまとまるはず。



とにかく考えながら歩く...



町歩きのスニーカーだから、デコボコの自然の中を歩いていると本当に疲れるな。



歩いていると、木の根に足を引っ掛けて、転んだ。


「「痛って!!」」


俺はバカみたいに盛大に転んだ。

手で着地できたからよかったものの、手の皮をかなり擦り剥いた。


「何やってんだよ俺..」



泥を払いながら、立ち上がるとおかしな事に気づいた。



「な、なんだよこれ...」



司会の右上の方に、小さな緑色の棒のようなものが見える。

細長い試験管を横に倒したような感じの形だ。


そして今、それの長さが少し減った。


視界と共についてくる緑の棒。


俺はその形状に見覚えがあった。


今度は、俺は自分の顔をかなり強めに殴る。


やっぱり。

緑色のそれの長さが少しだけ減った。



推測が正しければだが、それは、ノケモンとかオラクエなどのRPGゲームでよく見るやつ。



...体力ゲージ



「まじかよ..」


俺は自分の置かれた状況を整理しようと、顎先を指で支えながら俯くと、

景色とは不釣り合いな、丸い物体が見えた。


「なんだこれは?」


それをつかもうとすると、突然、ホログラムのような画面視界に広がった。



ステータス


名前 ナツキ レイ

種族 ヒューマン

レベル 5

HP 34/39

MP 45/45

攻撃力 32

防御力 20

知力 41

素早さ 39


次のレベルまで必要 EXP 22



俺の名前?

ヒューマン、レベル5って..なんだこれ?

HP、MP、攻撃力、素早さ...って、


まるでRPGだ。。


おいおい、レベル5とかやめてくれよ。

そんなん、はじまりの森みたいな初心者に都合の良いステージじゃない限り、敵に遭遇したら即死亡じゃん..。


次のレベルまでって、これ多分経験値の話だよな。EXP 22ってどんくらいで稼げるんだ?



所有スキル...だと??

見てみよう。



所有スキル


潜伏

暗視

スティール

ピーピング

ダークヒール



潜伏、暗視、スティールって、


コソ泥みたいな技ばっかかよ!!それに攻撃っぽい技が一個もないし!


まあ、普段、内向的で根暗な俺にはぴったりかも..



ピーピングって覗くって意味だよな、コソ泥の上に変態か?


ダークヒールってなんだ?

ダークってのは気になるが、ヒールってことは、回復系のスキル?

でも、どうやるんだろう?唱えてみるのか?


先ほど擦り剥いた部分に向けて意識を集中させる。


「ダークヒール!」


すると淡い紫色のモヤが発生し、傷ついた部分が包まれる。


ホワァァ


モヤが消えたので、手を見ると、先ほどの傷が綺麗に治っていた。


「これは..すごい!」



…どうやら本当に異世界に来てしまったようだ。

魔法が使えるなんて...



でも普通、モフモフとかオラクエだと回復系のエフェクトって緑や白なんだけどな..。

回復なのに紫のエフェクトって..その辺がダークと絡んでるのか..?



まあとにかく、ここがステータスや魔法がある世界と言うことは、冒険者ギルドなんかがあると仮定してもいいんじゃないか?



まだ不安は拭えないけど、ちょっとだけワクワクしてきたな。



とりあえずこの森を抜け出そう。

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