視線と微熱
来華
第1話 最初
視点 佐倉真弥
「やばい、遅刻してる!!!」
私、佐倉真弥は全力疾走しております。
なぜならバイトに遅れているから!
今日の講義が予想以上に長引いて、これ間に合わないかもなーなんて軽く思ってたら本当に間に合わなくなりました。
とりあえず店長に連絡入れたけど、遅刻=時給なので給料少なくなるからもう必死なのです。
寮生活だし特にお金に困ってはいないけど、食費とか交際費とか欲しいものとか色々あるのでお金稼ぎは大切なのです。
ああ、学校とバイトの往復な毎日なんて、青春してるわ!笑
これで彼女いたら最高なのに。
実は片思い中なんです、半年前から。
「すみません遅くなりましたー!!!」
とりあえず着替えて謝りもそこそこに、すぐにホールに入る。
午後4時半、お客様はまばらだ。
仲良く話してるおばさん達、新聞をじっと読んでるおじいさん、イヤフォンさしてる若いお兄さん。
今日は土曜日、店内が混んでなくてほっとした。
混んでるときはもう鬼のように混む店だからそこそこ大変なのだ。
「今日は来るかな…」
私の片思いの人はお客様。
美人でクールで細身でスタイル良くて色気のある声で、なんかもう女としてパーフェクトな人。
来るときは夕方6時頃に来て、いつもプリンとカフェラテのセットを注文する人。
最初は綺麗な人だなー、意外と甘党なんだ、くらいにしか思ってなかったのだけど、プリンを食べてる時の幸せそうな笑顔を見てたらなんだか気になって。
気がついたら目で追うようになってた。
まだ話しかけたことはないけど、そろそろ話かけようかな。
今日来たら話しかけよう。見てるだけなんて嫌、仲良くなりたいし!
ただ問題は今日来るかだ。
あの人、ランダムなんだもん。
毎日来てると思ったら1ヶ月見なかったりするし。
今日来ますように!
恋愛にこんなに勇気使うの久しぶりだから、やるぞ!って時じゃないとまた勇気出すの難しいんだもん。
来たらなんて声かけようかな。
きっと今日もプリンとカフェラテのセットだろうから、プリン好きなんですね、って言ったら変かな?
私も甘党だから、もし!もし話が弾んだらパフェの美味しい喫茶店とか一緒に行きたい。
…まずはあの人が今日来てくれたら、の話だけど。
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