転生ものなんて自分がなるとは思わない!

ユキト

第1話

「はぁ〜…」

なんでこんなことになったんだろう。私はただ普通に過ごしたかっただけなのに。

「よっ…と。」

何が起こったのか分からないので、辺りを見渡してみる。見慣れない場所だ。当然といえば当然なのだろうけど…

「だからと言って何で森?」

近くに町や村があればいいのだが…

「ずっとここにいても無駄だし、町を目指すしかないよね…!」

何かあると信じて進もう!…としたのだが。「ガサッ」

「…?何か聞こえたような…」

後ろを見ればそこには。

「な…にこれ?」

言い表すことが出来ないくらい巨大な怪物がいた。

「やだ…!!こっち来ないで!!なんで?!誰か助けてよ!!」

私は焦って何をすればいいのか分からなかったが、とりあえず逃げないといけないことは分かった。それなのに足が動いてくれない。

「逃げれない…!足が震えて…動かない…!!」

やだ。死にたくない。やめて。どうしていつもこうなるの?私は死を悟り目をつぶった。"せめて攻撃手段があればいいのに…!"

「_いなくなれ」

その瞬間に大きな爆発音がなった。目を開けると巨大な怪物は消えていた。

「今の…私が?」

確かに自分の意思とは関係なしに口が動いた。それでもあんなチートじみた力なんて持ってなかった!

「となると、もしかして…?」

そうだとしたら納得がいく!私は、私は…!!

「ラノベでよく見る転生者ってやつじゃん!!!」

だって、ここに来る前に多分死んじゃったし、変な怪物がいることだとか、変な力を持ってることとか!

「…あのー。」

うんうん!やっぱり転生者っぽい!というかそうでしょ!…かと言って説明もなしに飛ばされるか?

「…すいませーん!」

さすがに説明ぐらいないと死んじゃうでしょ!さっき死にかけたし!!

「おい!!!」

「はいぃぃ?!!」

うわびっくりした!…誰だ…?

「何回も声かけたのになぁ…」

「ごめんなさい…」

「はぁ。まったく。」

勢いで謝ってしまったけど誰なんだ…

「えっとねー…僕は…そうだなー。ユアとでも名乗っておくよ。渡辺 美希ちゃん!ご察しの通り、君は転生しました!ちなみに君の心の声は聞こえてたからねー?説明もなしにとか言ってたけど、僕の場合は転生後に説明するの!まぁ、その…危なかったけどさ…」

名前なんで知ってるんだろ…?というか、聞かれてたのか…何か恥ずかしい。

「本当に…死ぬかと思った…」

「ごめんね?まさかあんな奴がいきなり出てくるとは思ってなくてさ。でもその"能力"のおかげで助かったでしょ?」

「…うん。何なの?この能力って。」

「よくぞ聞いてくれました!君の能力は…」

な、何なんだろう…!

「声に出すとその通りになる能力だよ。」

「え?なにそれ最強すぎない?!!」

「まぁさすがにお金欲しいーだとか、家が欲しいーだとかは無理だからね?」

「無理なのか…」

「君ができるのはせいぜい破壊系だよ。戦う術がないと困るでしょ?」

まぁ、そうだけど…

「そうだな…試しにそこの木に"壊れろ"とか言ってみてよ。」

「え?こ、壊れろ…?」

すると目の前の木は大きな音を立てて壊れた。

「…!凄い!!」

「えへへ、でしょー!もっと褒めてくれてもいいんだよ?」

でも死にかけたし…もっと早く来て欲しかったなぁ…

「それはごめんって!あ、さすがにやろうと思ってないのに壊れるとかはないから安心してね!誰かと話してる時とかに破壊したくないでしょ?」

「おぉ、結構ありがたい!ところで…町はどこに?」

さすがに森のままだと困る…お腹も空いてきたし。

「あぁ、そうだったね。じゃあ町まで案内するよ!これからは君の心の中で会話できるようにするからね!」

「え?何で…って消えたし…」

"ここに居るよ!!"

おぉ、居た。…んで、どこに向かえばいい?

"んー、ちょっとだけ右向いて、そのまま真っ直ぐ行って!"

ほーい。…にしても森の中ってなんにもないんだねー。

"まぁ…誰も住んでないからね。あの怪物の縄張りだったから。"

え、じゃあ相当やばいやつ倒しちゃったんじゃ…?

"…その力がバレたら危ないだろうね。"

じゃあ隠し通せってことか。

"ごめんね?…と、もう町が見えてきたよ!"

本当だ!これから頑張らないと…だね!

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転生ものなんて自分がなるとは思わない! ユキト @yukito_

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