——ターンエンド


 VRゲーム——〈ブラックラウンド〉の世界は、現実の物理法則で動作している。しかし、それは完全に同等ではない。

 ゲームであるために……現実で『偶然』を引き起こす揺らぎは無視され、影響は事前に予測できる。

 リンドヴルムの号砲、咆哮で押し寄せる赤熱の津波も、怪人は無傷。ゲームシステムの『相殺』現象によって、巨大な腕で一撃を加えられた赤熱は彼に対してのみ、あらゆる影響力を失う。一方、召喚者は最初からリンドヴルムの影響を受けない。


 もし、飛んできた破片か何かに二次災害的に当たれば互いに即死だが——飛来する落下物の規模や軌道、速度にランダム性は一切ない。現実と同じ法則であってもここは現実ではなく、量子レベルのバタフライ・エフェクトがなければ、予測が覆る因子がない。

 ダメージを相殺されたとしても赤熱の熱量、斥力、質量は無効化されず場に残り続けている。



 ——〈通接式電界〉



 粒子の雨が赤く跳ね返りながら降り、蒼いダメージフィールドが光る中に白い電網が奔るや、近くの屋上に駐機されていたNYPDの警察ヘリが赤熱を受けて飛ばされてきた。頭上でローターが唸りを上げ出す——電界に入ったからだ。位置を微調整し……散ッ。


「無駄だ——。——。————グォッ⁉」

「響くよ。カノン?」


 敵を一刀両断する角度で墜落してきていた機体は、逆に真っ二つにされた。

 蜃気楼に揺らめく両刃剣が四枚羽のローターを弾き——返しの刃で斬られた尾翼がビル屋上に墜落すると、テールローターを失ったコックピットがその背後へ墜ちていくが、防御できるのはその二撃まで。

 蒼いダメージフィールドが消え、一線に収束。直前に手放し、回転するコックピット辺りに予め突き刺されていたイラストリアカノンが照射し、蜃気楼の怪人を背後から袈裟切りにした。


「気がついたことがあるんだけど、いいかな? あなた——」


 戦闘開始から既に八〇秒経過——毎秒一パーセントずつ削られ、残り僅か二〇パーセントだった敵のライフが蒸発。

 袈裟に入った蒼光の閃が一直線に、そのまま身体を斬り抜く……かと思われたが生身になった敵の身体は急にその体積を増す!

元々二メートルはある巨体であったのが、イオンの目前で真性の極大体積な異形へと、希薄に成る。


「ク————ッ⁉」

「背が低いね。見て? 歩き方教室とモデルレッスンで背筋を伸ばすように教わったら、ボクは身長が三センチ伸びたよ。一六三センチあるんだ。バレエもやったことあるけど。あれぴっちぴちでえっちだよね」


 イオンは立ち上がると、額につけた掌をスッとスライドさせていって、ゆっくりと下ろす。

 ガス化能力——体積を激増しながらも質量は一定のまま濃いガス状の形態と化した怪人は、斬撃をすり抜けた。生身での最後の防御手段、収束させたイラストリアカノンの刃はヘリと回転しながらロストし、ビルをスライスしていく。

 蒼いダメージフィールドも消えた。HPを失ったことで(相手も今や同じだが)——コンソールの全機能、ミニマップや装備メニューを開くこともできなくなったイオンには手元に武器がなかったが、強烈な出血がその足下に零れる。肩口からごぼごぼと溢れ、粒子と混じらない血の水溜まりは傾いだ足場を滑っていく。


「猫背になってる。無意識に。そのVRアバターと本当の身長が釣り合ってないから。ゲームだったら無理な姿勢でも動けるけど——一四〇センチ位しかないでしょ? 目線の高さが元のままだよ」

「⁉」


 両刃剣と機械の巨腕——黒くガス化した敵も、一時的に武器を投げ出していた。ガスの骨格と筋肉では質量を保持できるはずがない。

 即座に、肉体を再生して怪人は武器を取り直すが。ガスが元の形態に戻るより早く既に〈通接式電界〉、発動済み。

 白い電網が持ち主のいなくなっていた巨腕を捉え、自前の腕を先程蒼刃で斬り落としたイオンは肩口を接続。〈ガントレット・グラインダー〉——奪取し、神経がつながると大質量の発勁を放ち、同時に真一文字のエフェクト。


「——。——。————気は済んだか」

「え?」


 追撃の——〈斬傷殺界〉、ターゲッティングした瞬間発動する真空の視線。得たばかりの能力が最適解、再びガス化しようと……気体は真空に吸い込まれるはずだった。なのに何が起こっている。

 発勁は命中。

 見ることで起こる真空波、視線に追随する銀色の線も——生身なら容易く両断するのに、それを受けた敵は平然としていた。逆に……刃が勢いよく貫通し、開いた風穴を突き抜けた背中でアイスシャンパーニュの髪が焦げる。塵を焼き尽す程の剣速に巻き込まれて。火線を描いて投擲された両刃剣にイオンは胸を貫かれていた。

 一瞬後、剣が空気の壁を破ると彼方のオブジェクトに突き立って空を割る。

 胸元で十字を切った敵の姿が視界下側へ消えていった。仰向けに倒れていく体は、スライスされたビルごと空中を滑っていく。


「……どうして。⁉ ——」


 今のは何だ? やられるのはわかる。一秒どころか一fを争うゲームなのだから先に仕掛けた攻撃を耐えられた時点で当然これが末路だが、奪った腕の発勁は直撃し敵を圧し潰したはず。

 今のは、ギリギリの勝負という感じさえなかった。予定通り収まったのに結果の順序が間違っている——まさか、絶対に倒せないのか?

 身体の周囲で極彩色の電渦がスパークする。とんでもない速度で白煙と飛び退っていった怪人が生身の五爪を地に突き立ててブレーキし、焰塵を噴き上げながら着地した、その地面からイオンは遠ざかっていた。


 身体を全く動かせなかった。しかし、身体感覚は継続している。意識が切り替わらないまま、ありえない光景を見た。

 普通——ではない。

 上下も奥行きもない平面を中継して別々の景色がつながっていた。真っ白なキャンパスが間にあり、ストリームの吹き荒れるNY。別の都市。見たこともない光景。

 白い空間にはしかし異様なベクトルのエネルギーが満ちていて、そのスパイラルに突入して身体中をずたずたにされると直後、混じった異物を拒絶するかのような炸裂。


 空間全体が大音響で崩壊し前層、硝子の砂漠に投げ出された。


 ——展開された黒水球に、落下する身体を受け止められる。沈み込んだその中で一息、落下速度を減衰しながら呼吸を目で見て感じたが——球を体が突き破ると、弾ける水の向こうでは、あのNYの地面が氷河の絶壁のように堆く屹立している。

 無数の地平線が他にも次々に折り重なって来ていた。

 向こうの地面が目前で砂漠と直角にそりたち、層を隔てたそこの光景を直に見ることができた。呆然と硬直していると、自分を呼ぶ声を聞いた。


「おい、あんた⁉︎ ナメてんじゃねェぞ、どうなってるッ。何で負けてんだ! ——」


 銀河の星々を柄にしたローブ、煌めきすらする星彩が不気味に脈動して見えた。話が一直線になる。

 そういうことだったのかと。なら起きたことを問いただしても意味はなく、問題の核心とその答えは常に、『だとしたらどうなるか』だ。


「……おかしいと思ったわッ。あの時、ここに来た奴を、あんたが倒した時にッ。——何で倒せてるのよっ⁉」


 最初、桐先恋花が感じたのは軽い引っかかりだった。

 あの和装のアバター——〈霧穢早苗〉は何をしようとしたんだ?

 イオンに倒されそうになって第百層から脱出する。それはわかる。この世界では階層間のワープができるとも聞いている。霧穢の行動に筋は通るがこの層、第九九層のボスフロアに?


「——『自分の代わりに、この世界を攻略してくれ』ってあんた、言ったじゃない。それは自分ではできないからでしょ。なのに、あの奴をあんたが倒した。知り合いみたいな顔して」


 放電嵐と自重で崩れたビルなどのオブジェクトが荒ぶりながら、こちらの重力に引かれて降り注いだ。

 残骸が槍雨と突き刺さる。

 大小の瓦礫が落下し、硝子の砂が立て続けに波及。

 見れば無数の地平線が砂漠を遮るようにしてあったり、縦横空間を横断するようにしている。


「そう、つまり真打ちがいる。よくわかったな? けど……あーうん。はい。ええと? ダメみたいですね。つまり問題は、あいつなんだ」


 恋花が駆け寄っていくと、「死ぬ! 死ぬ‼︎」と元気に手を振るイオンの反対側に立って、彼は言った。


「昔々の話だ。それは——ブラックラウンドがリリースされるよりも前のある時、ある所に、『仮想最強と言われた素晴らしく強いプレイヤー!』がいた……名前は誰にもわからない。まるで自分が特定の誰かになることを拒むように、そいつはアバターの名前やプレイヤーコードやIDを意味のないでたらめな文字列にしていた」

「本気……?」


 向こうを向いて語る彼の背中を恋花はじっと見た。


「ある所に、と言ったがそいつはどんなゲームにもいた。そしてそいつは他の誰にも一度も負けたことがなかった——名前は毎回変わっている、特徴も法則性もないでたらめな文字列に。思うだろう? それは本当に同じ個人なのかと。でも、そもそも仮想では誰だって同じように名乗れる。顔や容姿もそう、平等だ。だからそちらの方はですね、絞首死体のグラフィティを描いた」


 随分汚れ幾箇所か裂けたが相変わらず象徴は、彼女の背中を飾っている——彼が横目で見て視線が合う。

 腐敗した汚物のグラフィティ、人をバカにしたようなシンボルをあの蜃気楼は背負っていた。


「シンボルこそがイオリアフレインだ! 唯一無二のオリジナルで、同じのを描けって言われてもできない。あいつもそう。見たろ? 渾名がついて、当時は——〈ブリストル〉。そう呼ばれていた。

 ってわけで。相当な有名人だったけど、ブリストルはブラックラウンドができた頃、唐突に姿を消してしまった。だからあのゲームは一説によると、自分が楽しむために彼がつくったともされている」

「!」


 おっと、と彼は何か間違ったことを言ったようにその時視線を空へ逸らした。

 地面、硝子の砂漠とほぼ垂直に、イオンのいた第百層がすぐそこにあった。この世界は球体でもなく平面でもなく、メビウスリング状の一直線な世界。

 事実を脳が受け入れられない。視線を追ってその空を見て、恋花は黙り込んだ——リングの一部を折り紙のように一度引っ張り、余計な部分を密接させるとY字にこの層と第百層他をつなげた……? 先程スライスされたビルの上階部が丸ごと、半ばまで砂漠に突き刺さってくる。

 同時に、咆哮。

 直角になった向こうの地上で。


「ヤバい」


 銀河のローブをはためかせ、フードで顔を隠すようにした遊生が声だけは深刻そうに言った。白々しく、深刻そうにしようとしている感じだった。


「見りゃわかるわよ⁉ え? 何であたしを見るのよ」

「オーケー。まあ大丈夫だ。驚かないでくれ。これ、VRだからな? 多少はね」


 彼は、今度は神妙に言った。

 桐先恋花を真っ直ぐに見ながら。

 

「こういう時のために、もしもの時の備えがある——」

「あー、最初に何か言ってたわね。思い出した。それで、それ——あたしってこと⁉︎ はァァーん、嘘なんですけどォ! 何らかのッ、てか全面的な間違いでしょッ」


 イオンの召喚したリンドヴルムに、怪人が一瞬八重の斬撃を投剣で三度。さらに拾った両刃剣を投擲し、怒号を上げさせ撃破した。放電嵐の中で軌跡だけが見える。

 怖気が立つ化物の吠える声、超常の光景を見ながら——ずっと考え込んでいた。ここへ落ちて来る直前、層と層の間の平面白い空間でイオンは幻覚を見た気がした。

 全く見知らぬ人間の記憶を一、二場面見せられた。

 実際に見たのかはわからない、今になって見た気がして、その事と今——何人もの人が手をつなぎ合っているかのような光の網目、層の空を覆っていた薄膜に得体の知れない怖さを感じた。今までは違和感しかなかった。空までは遠く距離があったために。

 それが在ることの異常さに気づいていなかった。空が溶け合って見ると、それには実体があって、まるで生きているようだ。光が毎秒脈動するのが人間で言う心臓の鼓動なのだとすれば、それは全体異質な化物に感じられてならない……。


「何よ、……ッ?」

「——」


 桐先恋花は立ち上がると全裸の細い身体を震わせて、身じろぎし、轟風で砂漠にへたり込んだ。足を取られて尻餅をつき、見上げる眼前の光景。この景色は、ありえない——ことに気がつく。



「——って、言うか……〈爆縮レンズ〉使いなさいよ‼」



 立ち上がる蜃気楼、白煙に撒かれる汚物のグラフィティ、リンドヴルムを排除した怪人が投げた両刃剣を引き抜いて跳躍——近づいて来るのをイオンも見た。

 身体が入っていた水球の残滓がその時、地面を這いずってから浮上し、空中で剣先鋭いソード状の形に固まる。何故自分がその時そちらを振り返ったのかイオンにはわからなかったが。


「あの技のオリジナルは俺じゃねェんでなッ⁉ そちらの方に一番簡単なやり方を教えてもらっただけなんで、数種類の重力が絡む場でッ、動く相手に爆核配置とタイミングをアドリブで合わすなんて真似はできねェよ‼」

「へっ——⁉」


 聖なる警句が刻まれた刀身を持つ水形の剣が、次の瞬間。

 仮想の視界が消える間際。その体から突き出た剣身と、反動で体が浮き上がるのを感じたのが桐先恋花の最後の感覚になった。

 剣は彼女に真っ直ぐ飛んで、鋭く心臓を貫いた。



「——『男性ですか? 女性ですか?』って無神経なことを聞かれたら、アニメキャラですって答えとけッ。よし。……死んだな。なるべくならこうなってほしくなかったけど。実は黙ってたことがある。時間がないッ、イオン!」


 目を閉じて、開けると周囲は既にほぼ正常な第九九層。

 帯電した硝子の砂が空気をざらつかせる感触。何だったんだ。今のは——直角に屹立した第百層の地面はこの層に充満する電位に竜巻を起こしながら、急速に遠ざかっていった。轟音を上げて正常な均衡にメビウスリングが戻っていくと、向こう側の重力に引かれて光る両刃剣の軌跡が見える。その際本体が電位の竜巻に擦るも何の反応も起きなかった。

 やはりそうかと納得する。見間違いじゃない。あの時、収束したイラストリアカノンのフィールドは確かに敵を斬り裂いていた。


「まずッ、これを持ってけ! ——〈イマジナリキューブ〉だ。絶対に解けない暗号でプロテクトがかかってるけど、この世界にいる間、付属するデコーダーがあんたの位置情報を拾い続ける。俺にもどこだかわからないけど、第百層の特定の地点に持っていくと自動解錠される仕組みな。中身が見られるってこと。気になるだろう?」

「中身? ——」


 ブリストルのHPは尽きていた(ブラックラウンドというゲームは、『HPが尽きることでゲームオーバー』というルールではない。HPはあくまでも現実の物理法則に直された耐久性、ありとあらゆる攻撃をコンバートされたアバターの防御性能分だけ防ぐ見えないアーマー)。

 中身は人体と同等なのだ。多少強化されているが。


「!」


 その時。先程の戦闘で受けた傷が消えていることに気がつく。

 何なんだ、この世界は。

 片膝を立てて座ったまま、周囲を観察するように見てからイオンが顔を上げると、


「——そう! あんたのダメージは俺が肩代わりした。今から言うことをよく聞いてくれ、レストランに俺のゲーミングPCが開きっ放しにしてあるッ。それを見れば今、あんたの気になっていることが全部わかるはずだ。パスワードはajle97bb9we0、素数番のアルファベットは大文字……覚えたよな。覚えたな。このパスワードだけは記憶しておいてくれ。でないと大変なことになる。こうなってしまうか否か、事前オッズでは五分って感じだったが? でッ、あんたには言ってなかったことがある」


 至近で電衝が奔った。思わず手を翳すが、それよりも衝撃的なことが直後、告げられた。

 それは何故——一体どういうことなんだ?

 そんなことが……⁉︎


「この世界からはゲームオーバーになることでも脱出できる。言うと試されると思ったんで。但しそうした場合、この世界に関する記憶が全部消える。裏VR世界、裏側のブラックラウンド、それと紐付けのできる思い出が脳内ネットワークから消される——そんな感じだ。俺の場合はあんたのことも多分忘れてるはず」

「⁉」


 銀河の星々を柄にした装束が、裾から粒子になっていく——消えかかりの視線がイオンの手元へ注いだ。

 渡されたまま手に持っていたのは一〇センチ四方程度の方形。向こう側が透けて見える、完全に透明なクリスタルの外見。

 方形の中には螺旋状の一筋だけ虹色の光が閉じ込められて巡っていた……だが、記憶が消える?


「——なので、ご確認はお友達でな? 決して俺の趣味ではなく、そのために連れてきたことは念を押しとくッ。でもついてるっていいよな!

 最後のゲームが始まるんだ。俺にとって、現実はとっくにゲームだった。この感覚をあんたも堪能していってくれ? 俺には無理だったけど、あんたならこのゲームはクリアすることができる。諸々の真実は自分の目で確かめてくれ。これで現実に戻ったら……」


 目前全てが完全に光の粒子になり、地面に触れている感覚が消えた。

 周囲が一転。


「いやそんなことより——一年だ! 予め定められた一定の期間、事前予測ではあと約一年程が経過した時点で、このゲームは自動的に終了する。あんたはその時敗北し、後には何も残らないだろう。じゃ、そういうことでッ」

「えっ」


 フリーフォールのような強烈な落下感の中で自分の瞳が淡い光を放つのがわかる。

 金細工師による太陽球めいた薄く金色の虹彩をもつイオンの瞳の煌めきは、仮想現実では再現できない。

 気づけば、身体感覚が現実に戻っていた。だがログアウトしたその目前には、今日一、想像を絶する光景が一面に広がっていた。


【続く】







カットしたけどもしかしたら後で使うかもしれないテキスト↓


 なるほど、半分程状況は察することができた。つまり原因は、彼が知らなかったからだ。

 ——あの蜃気楼の怪人、ブリストルのアバターは無敵判定か、破壊不能オブジェクトだった。

 だが自分が万全な状態だったとしたら、それでも勝てたとイオンは思う。ここでのポイントは、『遊生も、そう思っていた』ということで。

 イオンの多重人格と、仮想へ多重ダイブできることは知っていても(そこまでは世間に公表されている)、イオンの能力の根幹が、人格を分割して行う超高速思考だと彼は知らなかった。

 それで今の状況になった……しかし、この世界へイオンを連れて来るために、彼は相当な手間をかけている。心臓を差し出してもいいなら、天秤の秤の片側は何が乗せられている? 

 強烈な引っかかりを感じて、もう一度周囲を見てみるが直後、俄には信じられないことを聞いた。

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