はちみつ瓶づめの恋

温泉

はちみつ瓶づめの恋


僕はみのりが大好きだ。


みのりは2個離れた妹で、みのりの生まれた時からずっと一緒だった。

かわいくて活発で、誰にでもフレンドリーなみのりは男女問わず友達がたくさんいた。

幼稚園、小学校、中学校と一緒に通ってきた僕はそんなみのりが誇らしくて、自慢の妹だった。


そして、僕が高校2年、みのりが中学3年の冬、部活帰りに通った夕方の公園で、男とキスするみのりを見つけた。みのりの頬は夕焼けのせいか赤っぽく染まり、きれいだった。


でも、



小さなみのりがおそらく初めての恋をし、僕の知らないみのりになっていってしまうことが、僕にはどうしてもショックだった。


かわいいみのりが、僕のみのりが、

とられてしまう。


いなくなってしまう。



嫌だ!




そう思った途端、

僕はあわてて走っていき、男を突き飛ばしてみのりを抱きしめた。


みのりに言った。

「だめだ。みのりは僕のものだろう?」



そう言いながら、僕は気づいた。



これは恋だ。



僕はみのりを愛してるんだ。


みのりに伝えた。

「好きだよ。愛してるんだよ。

みのりも同じ気持ちでしょ?」


みのりは今までの人生、ずっと僕と一緒にいたんだ。

同じ気持ちに決まってる。


みのりは僕の気持ちに応えてくれて、僕らの関係は兄弟から恋人へと変化するんだ。




そう思ってたのに。





みのりは「ありえない!何言ってるのかわかんないよ!お兄ちゃん怖いよ。嫌だ!」

と逃げて行ってしまった。



なんで?


僕に応えてくれないの?


みのりは僕が好きじゃないの?


これからの人生、みのりとずっと一緒じゃないなんて、考えられない。


ずっと一緒じゃなきゃ、嫌なのに。




みのりはまた誰か別の人と恋人になってしまうかもしれない。


どうしよう。



そんなの堪えられないから





決めた。


みのりの心を僕のものにしよう。




僕はまだ親のいない家へ帰って、みのりの部屋に入った。


なんでか驚いて泣いているみのりに近づき、首を絞めた。



みのりの心は僕のもの。



僕はみのりの心臓を取り出して、キッチンに洗って置いてあったはちみつ瓶にいれ、蓋をした。


良かった。


これでみのりは僕のもの。


誰にもとられる心配はない。



ずっと一緒だよ。





僕はずっとずっとみのりが大好きだよ。




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