第6話
「いつまでも機嫌悪くしてると、そんな顔になるよ」
「前を向いて」
小百合はつんとあごをそらして、窓の外へ顔を向けた。
初めて会うカイリのために選んだのは、紺と白の水玉のワンピース。白い襟のとカフスのついた清楚なシルクだ。
長い髪は肩におろしている。
左ハンドルの運転席から、ミラー越しに視線を投げていた悠護は目を細めた。
「サトルの恋人が怯えたらどうするんだよ。かわいそうだろ」
「余計なお世話だわ。言っておきますけど、ついて来ないでくださいね」
「そうは行かない」
「そのセリフ、そっくりそのままお返しします。サトルさまのお許しもなく会わせるわけには行きませんから」
「どうせ、乗せて帰るんだろ」
「いいえ。あちらはまだお仕事がおありでしょうから、リタさまだけお連れします」
小百合は嘘をついた。
カイリのことを気に入っているリタは、仕事で忙しい恋人に内緒で一足先に来日したのだ。
リタの希望通り、カイリとの食事に連れて行くようにサトルから言いつかっている。
「リタが承知しないと思うけどなぁ」
悠護のぼやきに、小百合はため息をついた。
サトルから連絡を受けて職場を出ると、すでに車には悠護が乗っていた。
サトルから鍵を預かっていたと言うが、簡単には信じがたい。物事の手段を選ばない男だということは熟知しているのだ。
降りるように叱ったが、いつもの調子でどこ吹く風と聞き流された。
時間に余裕がなかったせいもあって、後部座席に仕方なく乗り込んだのは失敗だった。 それでも、時間が惜しいのは本心だ。
恋愛トラブルメーカーのリタが、恋人に黙って行動するほどカイリを気に入っているとしたら、サトルも安心できないに違いない。
欲しいと思えば、どんなことをしても手に入れるのがリタだ。
その誘惑を完全に跳ね除けることができたという話は聞いたことがない。
男も女も、関係なしだ。
「リタが気にいるってことは、かわいいタイプじゃないんだな」
悠護は意外だと言いたげだ。
「恋愛は顔でするものではないでしょう」
「それはそうだけどな。美人タイプ?」
「答えたくないわ」
「案外、ゲテモノ食いってとこか」
「悠護さん」
声でたしなめ、
「知っていらしたのね。リタさまが先にいらっしゃること」
ミラー越しににらんだ。
「知ってた」
悠護は笑った。
「日本語を覚えたいって言うから、しばらく教えてたんだよ」
「……」
「なに、その信用してない顔は」
「いいえ。私は、そんな顔、してません」
「なんでもないよ、リタとは」
「えぇ、今はそうでしょう。あなたがどんなにバカでも、ベアトリスさまの不興を買うほどではないでしょうから」
「いま、バカってところに力を入れたよな」
「いいえ」
しらっとして、窓の外を見やり、
「そのビルです。停めて。路上駐車は迷惑になりますから、近くのパーキングに停めておいて」
運転席のシートを叩いた。
「久しぶりに日本に来た俺を心配してくれよ」
「嫌よ。勝手に運転手を買って出たのはあなたよ。自分の行動に、どうぞ責任をお持ちになって」
「わかりました、お嬢さま」
おどけた悠護は車を停めて、運転席を降りて小百合の座る席のドアを開けた。
執事ごっこをしたわけではない。
これは悠護の素の行動だ。
小百合はクラッチバッグを手に、無言で降り、
「サトルさまに確認して、お許しが出なければこの車では帰りませんから」
「わかってるよ。おとなしくしてる」
ホールドアップの体勢の悠護に見送られ、車の前を通って出版社のビルに入った。
***
「悠護をまいたんだって?」
遅れて夕食に参加したサトルが、半円のソファに腰を落ち着ける。
食前酒と前菜が済んだところで、メインには間に合った。
「しつこいんです」
サトルが来るまで、カイリとリタの通訳をしていた小百合は微笑みとは裏腹に辛辣に言った。
「サトルさまに確認するまでもないと思いましたから」
赤いソファが高級感のある店内では、サトルとリタと小百合が囲む美形勢ぞろいのテーブルもそれほど目立たない。
ハイクラスな店の雰囲気にそわそわしても、連れの外見には頓着のないカイリは、アルコールの効果もあってリラックスしている。
「がっかりしてたよ。で、自己紹介は終わってるんだよな」
サトルが言うと、隣に座るリタが小百合を振り返り、通訳の前にサトルはなめらかなフランス語で繰り返した。
「私を出版社まで送って来た男で、サトルさまのご友人です」
小百合は続けてささやいた。
「日本人?」
「えぇ。サトルさまの資産の一部を運用しながら、各国を気ままに遊びまわってます。リタさまともご友人です」
「小百合さんは、あんまり好きやないんやな」
「えぇ」
否定せずにうなずいた小百合は、
「すみません。聞き苦しいですね。日本にいることが珍しいですから、きっとサトルさまからご紹介があると思います」
恥ずかしげに肩をすくめた。
「お二人の仲もご存知ですから、サトルさまの不在では引き合わせたくなかったんです。ぶしつけな人ですから」
テーブルの向こうで、サトルが肩をすくめている。
カイリは笑って返した。
小百合は口で言うほど相手を嫌っているようには思えなかった。
理由はない。
単なるカイリの勘だ。
テーブルにメイン料理が来て、その話は終わりになった。
食事は穏やかに進み、ほろ酔いでタクシーに乗ったカイリは、サトルのマンションで一気に酔いが醒めるような気分にさせられた。
「なんや、これ」
そう言ったきり、絶句した。
フロアは、サトルの部屋と同じだった。
今まで、どこに通じているのかと考えたこともなかったエレベーターホールのそばの扉。
開かれるのは初めて見た。
そこもサトルの持ち物だと、それも初めて知ったのだ。
広すぎる居住区だけがすべてだと思っていたのは大きな間違いだった。
扉の向こうにあったのは、ペントハウス。
サトルの家よりは小さいが、それでも都内では信じられないような広さだ。
リビングは吹き抜けになっていて、さらに、大きな掃き出し窓の向こうはプールのついたベランダになっていた。
開いたままの口を閉じようともせず、カイリは初めての家を探検する猫のようにペントハウスの隅々を見学して回る。
最後にまたリビングの入り口であんぐりと口を開いた。
長いフライトで疲れたのか、リタはソファでうとうとと目を閉じ、小百合はアイランドキッチンでコーヒーを準備している。
天井では大きな木製の扇風機が回転していた。プルメリアの甘い匂いが部屋に充満していて、タヒチやハワイの空と海をカイリは思い出した。
「もう、なんも驚かんと思ってたけどな」
「そう?」
カイリの手を引いて、サトルは窓へ近づいた。東京タワーが見えている。
「ため息も出ぇへんわ。ほんま」
「ゲストハウスなんだよ。特別なゲストだけに貸してるから、ほとんど出番はないけどね」
「サトルさま。いらっしゃいましたけれど」
小百合の声がした。
手を握られたままだったのをカイリは思い出したが、いまさら振り払う方が気恥ずかしい。
「上がっていただきますか?」
「小百合がイヤじゃなければね」
「お断りしてもいいならそうします」
即答の速さを笑いながら、
「ダメだよ。リタのお目付役は悠護に任せるのが一番いい」
口惜しそうな小百合に言った。
「仕方ないですわ。あがっていただきます」
シルクの水玉ワンピースの裾をひらめかせて、小百合がその場を離れた。
華奢な肩を見送りながら、
「俺さぁ、カノジョ、どっかで見たような気がするんやけど」
「どこで?」
「いや、わからん。気のせいやろうか」
「デジャブじゃないのか」
「そんなんやなくて……。思い出せそうでわからんなぁ。あんな美人、忘れへんと思うけどな」
と、言ってから、はたと動きを止めた。
「思い出したのか」
サトルの問いかけには首を振り、
「そうやなくて。リタに加えて小百合さんまで現れて、編集部は大騒ぎやったで。思い出したら笑えて来た」
「パーティー、出るってことでいいのか」
「サトルは? 出る気なかったんやろ。俺は渡りに船やねんなぁ。笹やんには日ごろからいろいろと世話になってるやろ? まぁ、ここいらで借りを返しておきたいからな」
「パーティーに興味はないけど、カイリが一緒に出席するなら楽しみだな。俺に対して、新しく借りになるけど、それはどうやって返してもらおうか」
「え~。借りになんの? めんどくさいな。じゃあ、キスぐらいでいいやろ」
「安いな」
苦笑いするサトルは、いまさらキスぐらいとは言わなかった。
「じゃあ、いま、返してもらおうか」
「リタがおるやろ」
背中を抱き寄せる手を、カイリは振りほどかなかった。
「寝てるよ」
確かに、リタは肘掛けに頬を預けて目を閉じている。
小百合のかけたタオルケットが心地よさそうに身体を包んでいた。
カイリは腕を伸ばす。その手を、サトルが引き寄せる。
「んっ……」
カイリのくちびるから思わず息が漏れたのは、予想以上に激しく吸い上げられたからだ。柔らかな舌が絡んで来て、腰が引ける。
「逃げるなよ」
笑われて、睨み返した。
「いつもより、激しいからやろっ」
「そんなことない。いつも通りだよ」
しらっと答えながら、サトルがまた顔を近づけてくる。腰を抱かれて、くちびるの端にキスされる。
「やらしい。やり方がやらしい」
「そう思うのは、おまえが感じてるからだよ。それとも、俺がうまい?」
ちゅっ、ちゅっと繰り返しながら、サトルがうそぶく。
背中に回した手でシャツを引きながら、カイリは眉根をひそめた。
うまくないはずがない。
そんなキス、サトルがするわけがないのだ。
「音、させんなや。リタが起きる」
「どうかな? 案外、もう起きて、聞き耳を立ててるんじゃない? 俺の」
とんでもないと逃げかかるからだが、腕にがっちりと抱き押さえられる。
「かわいい、カイリの、息遣いとか」
言いながら、ディープなキスでかき混ぜられた。こらえようとしてもできずに、カイリははぁはぁと肩で息を繰り返す。
どうしようもない。
サトルとのキスはそういうものだから。
腰を抱かれればスイッチが入り、髪を撫でられてもスイッチが入る。くちびるを吸われて舌がからんだら、もう、立派なセックスの一環だ。
「やめっ……、おまっ」
冗談にならない。
カイリは腰を引いた。
ごりごりと押し付けられて、こちらも引くに引けない状態になっている。
「しようか」
「できるわけないやろ。もう、人が来るって言うのに」
「そっか」
ふいに現実に引き戻された顔で、サトルは残念そうに指先でカイリの頬に触れ、それからもう片方の手を股間に沿わせた。
「おま……」
「収まるまで、キッチンに入ってる? それとも、処理してくる?」
「あほか! 根性で収めるわ。うぬぬぬ。コーヒー飲めば一発や」
うなりながら、小百合が用意して行ったコーヒーを取りに行く。
「おまえこそ、でかいんやから恥ずかしいやろ。さっさと戻せよ」
「俺の分も取ってきて」
「いやや、自分で来い」
キッチンから声をかけると、
「いいのかな、そんなこと言って。あそこから戻ってくるとしたら、そこは死角だよな。抜いてやろうか」
「……来んな」
あきれて息をついたカイリは、もうすっかり平常サイズに戻っているサトルに気づいて目を見開いた。
凝視する。
「カイリ」
笑ったサトルは足早に近づいてくる。
「おまえ、ほんまに、俺のこと好きなんか。早すぎるやろ、萎えるんが」
「ココの問題だろ?」
サトルは長く美しい人差し指でこめかみをつついて見せる。
「そりゃ俺はアホやけど、サルよりは賢いはずや」
カイリは大きく深呼吸した。
「違うよ。違うことを考えればいいだけだ。カイリ、いつも通りに、俺の手とか口とか想像するから、収まらないんだろ?」
からかうような目で見られて、カイリは赤面した。
見透かされている。
「あほか、あほか、あほか」
三回言って、コーヒーを飲んだ。
そんな簡単なことなら、こんなに張り詰めたりはしない。
「あとでじっくりいじってやるから、今は忘れろよ」
からかいのニュアンスのない優しい声でサトルが言ったとき、廊下に通じるドアが開いた。
「いらっしゃいました」
小百合の声だ。
「もう一杯、追加で持ってきてくれる? トレイはそこ」
「あ、あぁ。うん」
時間稼ぎを言いつけて、サトルがキッチンから離れる。
「悪いけど、しばらくはリタの世話を頼む」
声だけが聞こえてきた。
いきなり本題に入るところを見ると、かなり親しい間柄らしい。
サトルがキッチンへ向かおうとする小百合を引き止めるのを聞きながら、カイリはコーヒーを人数分用意した。作業に専念するすれば、男子中学生みたいな反応をしていたソコも落ち着いてくる。
目立たなくなっているのを確認して、カイリはキッチンを離れた。
「サトル、どこで飲む?」
聞くのが早いか、小百合が風のように、ふわりとカイリの手からトレイを取った。
「後は、私が」
清楚な美貌で微笑まれて、奪い返せなくなる。
「起きて誰もいないと、拗ねるからな。そこのソファセットにしよう」
ダイニングセットがあるにもかかわらず、リタが占領しているソファセットの他にも、ソファセットが置かれていて、なおも空間に余裕がある。
カイリは辟易しながら、小百合の持つトレイから自分の分のコーヒーを取った。ひとつだけ、マグに入れた。
カップとソーサーはちゃんと来客分も用意されていたが使わなかったのだ。
「いまさら隠すとか、ないだろ」
小百合に連れられてきた男が、辺りを見回しながら二人がけのソファの真ん中に座った。
ラメの入ったピンストライプの紫色のシャツに細身の細身のジーンズ。
ボタンを開けすぎているシャツの胸元には太いチェーンとコインネックレス。
どちらも眩しいぐらいにゴールドだ。
マグに口をつけたまま、一瞬固まったのを、小百合は見逃さなかった。
「ゴロツキでしょう?」
花が風に揺れるように華奢な声色で、小百合は恐ろしいことを言う。
あまりのギャップに、カイリはうなずけなかった。
「……」
返す言葉もない。
確かに、サトルと話している男は、絵に描いたような場末のゴロツキの格好をしている。
これで繁華街を歩けば、因縁をつけられて三メートルも歩けないと思ったが、すぐにそんなことはないと気づいた。
「何の話だよ」
サトルが一人掛けのソファに座って、肩越しに振り返った。
小百合がそばを離れ、混じるかどうするか戸惑ったカイリは、視線で呼んでいるサトルに従った。
「ども」
サトルのソファのアームレストに腰を預けて、見上げてくる相手に会釈した。
目が違う。格好はゴロツキでも、繁華街で何メートルでも歩けるだろう。
もし絡んでくるバカがいるとしたら、それはド近眼か危機感のないふぬけに違いない。
サトルと話すふざけた表情の裏に隠した、鋭利なナイフのようにとがったまなざし。
表現する言葉を知っているのに、喉まで出かかって引っかかる。
「大滝悠護。俺の資産運営を頼んでる」
「と、言うよりは、こいつの金で遊んで、上前はねてるんだけどねー」
悠護はへらへらと笑って軽く手を上げて挨拶してくる。
テーブルにカップを移している小百合の手が、おそらく怒りで震えていた。
「髪、痛んでるなぁー。波に乗ってんの? スキューバ?」
色素の抜けた髪と日焼けした肌のラフさに、同類のにおいを感じるのか、悠護は気さくに話しかけてくる。
「どっちもやる」
カイリもニッと笑って返した。
「出身は大阪? 関西のイントネーション」
「そうや。大阪。俺は、山城海里」
壁を作らない話し方が、小百合にはたまらなく嫌悪感なのかもしれないが、カイリの性には合う。
差し出した右手を、立ち上がって強く握り返した悠護は、
「カイリ?」
首を傾げた。
「海の里って書くんや」
「へぇ。名字は、沖縄やろ」
「ご想像通りやな」
「悠護、そろそろ手を離せよ」
サトルが座ったまま言った。
カイリの目を覗き込んでいた悠護が不思議そうに視線を向けた。
「カイリ。サトルの本命、知ってる?」
「ん?」
くるりと向けられた目に射抜かれた。
ぞくっと悪寒が背中に走り、思い出せなかった言葉が、脳裏をぐるぐるっと二周りほどした。
知っている。
繁華街を歩いても、不良たちが避けて通る相手。
コレは本職だ。
「あぁ、俺か」
ヤクザの目だ。
普段はふざけた態度に隠せても、ふとした表紙にギラギラとぎらつく。大阪に暮らしていた頃、そんな男たちを見たことがある。
「うん?」
悠護が眉根をひそめた。
「聞いてる? カイリに聞いてんの。こいつは隠したいみたいだから」
「悠護さん、失礼です。おやめになって」
小百合が立ち上がる。
「うん?」
悠護と同じく眉をひそめて、カイリは相手を見た。
「カイリは答えただろ」
二人を見上げていたサトルが、立ち上がって握手をほどく。
「答えたって……」
悠護の視線が、カイリとサトルの間で揺れて、助けを小百合に求めた。
「だから、失礼だと申し上げたでしょう」
大きくため息をついて、小百合は肩をすくめた。
「だって、褐色の肌で……。あぁ、褐色か」
よほど混乱しているのか、悠護はぼそりと言う。
「でも、よく笑うって……。まぁ、陽気な感じか」
独り言の自問自答を続け、
「いやいや、可愛い子じゃないだろ!」
ようやく結論に達したらしい。晴れ晴れと叫んだ。
「可愛いよ。可愛いだろ?」
悠護から引き剥がしたカイリの手を握ったサトルが、肩を抱き寄せて当然のことのように切り返す。
「かわいい?」
反芻したのはカイリだ。
同意されたくないと思いながら、悠護を見た。
「ううん?」
首を傾げて、小百合を見る。
「どう思う?」
「素敵です」
そこで一息入れたのは、サトルの反応を確認したからだ。どんな視線のやり取りがあったのか、小百合はにっこりと微笑んだ。
「サトルさまにお似合いです」
嘘偽りなく思い込んでいるのが、声色でわかる。
からだがこそばゆくなって、カイリはこめかみを掻く。
「サトルの、恋人?」
悠護に確認されて、乾いた笑いを返した。
かわいい、かわいくないの後で、答えにくい質問だ。
「まぁ、そういうことになってるみたいやけど」
「へぇ~」
長い息を吐き出して、悠護はあらためてニヤニヤとサトルを見た。
「意外すぎるな。女をヤりすぎると、行き着く先はそこになるわけか」
「悠護さん!」
小百合の叱責に肩をすくめ、
「失礼」
軽く手をあげて謝罪する。
「攻撃するつもりはないんだ。元がこういう性格なもんで」
「俺も、なにがどうなってこうなったんか、さっぱりワヤやし」
「そういうとこは悪くないな」
カイリの腕を叩いて笑った悠護は、
「美少年よりは付き合いやすそうで良かったかもな。波乗りの話、聞かせてよ。あぁ、サトルさん、恋人をお借りしても?」
「悪ノリしてると、そのうちに、こっちから突き上げられるからな」
楽しげに笑うサトルの指を向けられたカイリは、素知らぬふりで首をひねった。
「そうでもないで?」
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