第6話 お前らの挨拶デッキには「久しい」しかないのか!

僕は異世界をなめていたのかもしれない。この世界・・・自然治癒しない!いや、普通に考えればそうなんだろうが、僕の想像していた異世界というのは時間経過とともに止血され、傷口が塞がれているというものだ。それがない!つまり、足が炙られているほど熱く、激痛が走っている。


悶☆絶☆し☆そ☆う!


でも、明けない夜はないのさ!


だからどうした。今、1番痛いんじゃ。未来などどうでも良い。今をどうにかしてくれ。おい、神。お前ならなんとかなるよな?せめて寝させてくれ。睡眠大事。おー、徐々に意識が遠退いていく。これは、神の思し召し?さす神。


「少年を目を覚ましたまえ。久しいな。いつぶりだったか。いやすまぬ。3日ぶりだったわ。しょ、少年よ、あっけなさすぎるわい」


いますべての文尾にwが付いていた。絶対ついていた。隠し通せるとでも思っていたのかこいつは。こいつなぜこんなにも人の夢に出てきやがるんだ?しかも毎度(過去一度)意味深な言葉を残し消えていくのだ。今回はなんだ。


「あー、えーと、この流れでいうのはあれなんだけど、少年、死んだよ?」


死んだよ?を使っていいのは少女だけだよ?おっさんが使ってもキュンとはならないし、どちらかと言えばオエだよ?で、どした。今回は何の用でしょうか。


「あっ、うん。えっと、死んだからどうしますかって話を、ね。選択肢は二つ…、ほぼ一つだけど、あるからどちらか選んで。一つ目が、もともと転生したのはこちらの手違いからだから、初純死とことで特別に復活する。ただし、とある呪いをかける。案ずることは無い。解呪することも可能だし、日常生活に支障をきたすことは無いから。二つ目に選択肢は復活しないk」


「復活します。もしかして痛みがきえr」


「よし行け」


無慈悲だ。あのくs、神神よ。


復活の呪文により、送られた先は生前と同じ森の中だった。まあ知っていた。そして時刻は朝。そこだけは神に感謝だ。しかし、足は相も変わらず痛いし、血もどっぷり出ている。先ほどまでは夜だったからよく見えていなかったが、噛まれたところ、骨見えてる。へー、咬合力こうごうりょく強いんだー。そりゃ痛いよな。暫く骨を観察していると後ろから声をかけられた。


「少年久しいな。いつぶりだろうかって、昨日ぶりやないかい!」


迫真の突っ込み頂きました。って、なんだよ。どいつもこいつも初手「久しいな」って、お前らの挨拶デッキには「久しい」しかないのか!そもそも昨日ぶりは久しくないだろ!


「はい、迫真の突っ込み頂きました。おっと少年けがをしているね。私はね、自ら素材集めをし、逸品いっぴんをお客様に提供しているんだ。だからたいていの素材は把握している。そこにある少し光っている草は回復薬になる。ほれ」


先日会った某服屋の例の店員さん、恐らく店長?は件の草を自前のハンカチーフに刷り込み僕の傷口に巻いてくれた。するとたちまち痛みは引き自由に動けるようになった。


「あ、有難うございます」


と、一言御礼を言うと、


「大したことないさ。少年には生きていてもらわないと困るからね。彼の約束、君じゃなければ達成できそうにないんだわ。それじゃ」


そういうと店員、恐らく店長は森のさらに奥へと足を運んで行った。一方僕は街へ戻ることにした。これ以上森にいても無駄骨を折るだけ。潔くここでひく。さてさて、チェックアウトするまでは無銭宿泊をきにする必要はないので今日はおうちに帰ってゆっくりしよー。


ただいまー。


「おかえりなさい。お外はどうでしたか?そうですか。それはお気の毒でしたね。こちらへいらしてください。暖かいお茶をご用意しておきましたよ」


「ど、どうも有難うございます?」


ルームサービス的なものだろうか?だとしたらなぜこの人は人がお茶を飲む姿をまじまじと見つめ続けているのだろうか。にこやかに微笑んでいやがりなさって御座います。なんか変な薬でもいれたんか?そんで効果を気にしているのかな。取り敢えず会話してみる?でも僕の会話デッキはお天気デッキだけ。それならば黙っていたほうがいいだろう。


気が付くと死んだように寝ていた。当たり前だ。夜寝てなかったんだから。それとも…。これ以上は触れないでおこう。と、言いたいところなのだが腹に重みを感じるので触れずにはいられないだろう。これはもしやそういうやつなのか?エチエチな激熱展開か?おっおっ?


そう期待していた時期が僕にもありました。なんか僕がそういう人みたいじゃん!!!!決してないからな!!!そういうのじゃないからな!!!!!


因みに彼女はここ数日休んでいなかったようで疲れがねって感じらしいです。ここもブラックなんやなー。明日は、一旦この街を出て、魔女っ子さんのところに行って髪の毛を強請ねだるか。

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