第3話  覗き込んで可愛いアピールしたからって前言撤回出来ると思うなよ!!!

しばらく座っていると、持っていた棒状のものが微かに振動した気がした。まぁ、気の所為だろう。木のせいだろうってか。HAHAHA。そこー、笑うとこっ!ただ、誰かの笑い声が洞窟内に響いただけであった。


これからどうしようか思案していると、例の棒がかなり揺れた。もはやこれは気の所為ではない。まじまじ見つめていると、棒から人が生まれてきたではありませんか!棒から生まれたボー君。いえ、生まれたのは女子でした。


そう僕の目の前に現れたのは、お胸なたわわを持った裸族の女子だった。あれなんか間違えた?まあいいか。たわわはこちらを見ている。そして首を傾げた。首をかしげたいのは僕の方だ。何故真っ裸で居て、こちらを疑問視できる余裕があるのかと。お互い首を傾げたまましばらく時間が経った。そろそろ首が痛い。ここまで来たら最早我慢大会だ。先に首を戻したのは向こうだった。やったー!僕の勝ちだ!って、なにこれ?


我慢大会の敗者には服が贈られました。無数の多彩な粒子が彼女を包み込み、服を実態化させた。着ていた服はどこからどう見ても魔女っ子変身セットだった。やっと異世界らしい光景を目にした。服を着た彼女はこちらを見つめた後、いぶかしげに問いかけた。


「ハキレミダ?コナニ・ルイノゼコ?」


全く理解できない言語を話された。取り敢えずなにか質問されていることだけは最後に付けられた?マークから分かる。返答に困っていると、


「Am I making sense?」


ある程度素養があるので英語を話といるということは何となく分かるが、なんと言っているのか分からなかった。ので、


「アイキャントスピークイングリッシュ。バットアイキャンスピークジャパニーズ!」


と返した。今度は逆に


「I don't know Japanese.But,please speak Japanese」


と聞かれた。これくらいの英語であればさすがに聞き取れるので、


「こんにちは」


といった。すると彼女は僕の言った言葉そのまま返してきた。少し、イントネーションがずれている気もするが誤差の範囲だ。


「日本語ってこれであってるかい?私はこっちの世界の者だからいい誤りがあるかもしれないけど、許してくれマンソー!」


幼顔に加え、金髪ショート少女にしては親父的発想をするギャップに狼狽うろたえていると、


「私はヒーリアス・トゥルーゼ・シャルオルド・ジーアリス・エルジオード・ハルと言います。以後ハルとお呼びください」


彼女は自己紹介をした。ここまで長い名前を聞いたことは生涯なかったであろう。正直もう、ハルの部分しか覚えていない。僕はうなずき、相手を見る。ただし目をあわせることは出来ない模様。そして彼女にうながされるまで気が付かなっかた。名を名乗っていないことに…。コミュ障特有のあれだね…うん。


「え、えーと。僕は栗下くりした 来羅らいらです」


必要最低限のことだけいえばいいよね?部活は帰宅部だし、趣味も誇れるものないからなー。これだけでいいのだ。


その後は、ハルさんの後を続きこの洞窟を出る。正直僕一人ではこの洞窟を出ることは不可能だった。至る所にトラップが仕掛けられており、なおかつ、人の目では視認出来ない隠し扉もあった。


洞窟を出た先は異世界の街並みを拝見できるだろうと期待していたのだが、そんなことは無かった。目の前には鬱蒼うっそうと生い茂る木々たちがた寝していた。まじ草w。←草に草生やすな!(パワーワード)いやホントの草。うん、もうやめようや。僕が洞窟だと思っていたそこは、どうやら古代遺跡らしかった。取り敢えず近くの倒木に腰掛ける。何故ここに僕が降り立ったのか、何故ハルさんがここにいるのかはいささか疑問だが、今は無事にここからだっせたことを喜ぼう。


「ライラくんは異星族いせいぞくだよね。きっと」


と、唐突に聞いてきた。ハルさんの言う異星族が何を指し示すか明確には理解していないが、恐らく転生者のことを示すのだろう。軽く頷くと、


「そうか。それじゃー大変だー。それにライラくん…豚野郎だし。」


ぶ、豚野郎!!!!!なんじゃそりゃ!おいおいおい、覗き込んで可愛いアピールしたからって前言撤回出来ると思うなよ!!!!顔を赤く染めて思い切り、それこそ首が引きちぎれるほど激しく首を振った。


「ライラ君が来ている服にプリントされているのはスライムだよ?」


だよ?と聞かれても、ああそうですねとしか言えん。そもそも僕スライムが描かれた服着てんの?えっ、センス悪!さすがにノットパリピの僕でも、いくら異世界転生にあこがれてても、くそ雑魚ナメクジ━━━時に主人公キャラが描かれた服を着るもんか!!あれ?主人公になれるって愛されてね?


「もしかしてスライムが何かわかってない感じかな?スライムって………服を溶かすんだよー」


ハルさんはいたずらな笑顔でこちらを見ていた。でも所詮しょせん絵だからゆるs…ダメなんですねわかります。白目確定案件。道すがら「お巡りさんーこいつです^^」って言われるんだ。オワタ。かといってここで脱げば公然わいせつ罪?人生ハードモード。おい神こんな服を贈りやがって、ちと出て来いや。一発ボコらせろ。


気が付けば外には月が煌々こうこうと輝いていた。遠く鳥がさえずっているのだけが聞こえる。僕は明日ここを立つ。近くに大きな町があり、そこで初期装備をそろえるといいと助言をもらった。


「そうだ、くれぐれも自分が異星族の人間であることを公言してはいけないよ」


と付け足して教えてくれた。これが何を意味しているのかよくわからず、補足を待っていると、


「人間は排他的なんだよ」


そういって月を眺めた。

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