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「りょうくん?」
あれから3度目のセックスは
新鮮味は失われても
激しさは増していった。
どんなに求められても若い身体は応じることはできる
ただ僕は
この行為が何から由来してるのか
全くわからない。
この人のことどう思っているのか
きれいな人だしセックスするのは楽しいが
彼女はどう思っているのかな
それにもともと僕は
誰かに寝たいと言われて断ったことはない。
快楽は何をも裏切らない。
エクスタシーは神とつながる瞬間だと誰かが言っていた気がする
神など信じてはいないけど
誰かに請われて
それに応えること
それに対して僕はとても満足する。
親に褒められたことはないし
そんなことは期待していないけど
誰かが悦んでいる顔を見るのは好きだ。
ここに来るようになって
小説を一本書いた。
彼女とのことを題材にしたわけではない
僕は他人との距離感を間違えることがあって
うまく対処できなくて
そんな葛藤を書くべきと思っていた。
よく知らない若い男を家に連れ込んで
それでも決して自分の本当の内側を見せようとしない
里香の時折見せる眼差しが
揺らぎ
開きかけては
また閉じる。
「りょうくん、今日は大学は?」
「講義はないけど、教授に会わなきゃいけないんです。相談しなきゃいけないことがあって」
家から援助してもらっていない僕は授業料のことで教授にはお世話になっている。
アルバイトに明け暮れなきゃいけないようなことが避けられてるのは教授のおかげだ。
「もうめんどくさい。明日にしようかな…」
僕はまたベッドに戻ろうとした。
「ダメよ。ちゃんと服を着て大学に戻りなさい。
最近まともに行ってないじゃない」
彼女はパッと飛び起きてシャツを羽織る。
振り返った顔が
年上の恋人からあの日公園で出会ったころの顔に戻った。
ひまわりの花を無心で見ていた時の。
「おいしいコーヒー淹れてあげるね」
なんとなく彼女の扉が固く閉じるのを目の前で見た気がした。
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