第27話 私は……を選びます
ここで、蒼に質問の回答権を渡した。
「私が選んでいいんですか?」
『お前以外に誰がいるっていうんだ?』
蒼がおずおずと言ってきた。
それを俺は肯定してやり蒼に判断を委ねた。
「だったら私は……を選びます」
俺はその蒼の判断に驚愕し、アリシアは嬉しそうに頷いていた。
『いいのか? それで……』
「うん、いいよ。 私はこれで後悔はしないから」
そうスッキリしたという感じでそう言った。
まぁ、蒼がそれで良いって言うんだったら俺は何にも言わねぇけどな。
「まぁいいわよ。 私は後三ヶ月ほどここにいるからここの学院を出るのは三ヶ月後で、その後ミルドのところに行くわよグレン」
『ん? ついて行っていいならついて行くけどいいのか?』
「あんたもミルドに用があるんでしょ? だったら私が護衛してあげるわよ。 弱体化したあんたじゃあ、あそこにいる魔物にすら勝てないでしょうから」
『うっ、正直助かる』
『で、三ヶ月後だな。 オルバリオ、国に話をつけて三ヶ月後に蒼がこの学院を出られるように手配してくれよな』
「はいはい、分かりましたよ。 三ヶ月も時間があるので大丈夫ですが、ロゼさんも自主退学でいいんですね?」
『で、いいか? ロゼ』
俺はロゼに確認を取るように聞いたが、そのロゼは何やら考え事をしていてこちらの話は一つも聞いていない様子だった。
『ロゼ、ロゼ! 話を聞いているのか!?』
「あっ、ごめん。 で、何?」
『はぁ、この学院を自主退学でいいか? って聞いたんだよ』
俺がそう言うとロゼは唇を震わせるほど驚いていた。
「え? う、嘘よね? 今から退学って嘘だよね?」
『今から? 自主退学は三ヶ月後だぞ、お前が学院に残りたいって言うなら別に今のままでもいいぞ?』
「よかった、今からじゃなくて三ヶ月後なんだ。 ならいいよ」
ロゼはホッと胸を撫で下ろした。
てっきり、学院に残りたいのかと思ったけど、今から退学だと思って驚いたのか、何を考えていたのか知らないけど、しっかりと話を聞かないといけないと思うんだけどな。
『てことだ、退学届けを二枚用意してやってくれ』
「はい、分かりました」
オルバリオはそう頷き、今一度座っている椅子に深く座り直した。
「では、最後に一つ。 グレンさんの身体は今どこにあるんですか?」
『知らん。 だが、あるとすれば
「
俺が適当につけた森の名前を言うと、オルバリオはやはりそこがどこかと聞いてきた。
『
俺がそう言うとオルバリオはあからさまに落胆した。
ちなみに
「え、グレン。 もしかしてそれって、世界樹関係のこと?」
『そうだな。 世界樹関係のことだな』
「じゃあ、私が知っているわけないかぁ」
ブフゥと、机に突っ伏しながらそんなことを言った。
「師匠、世界樹って何ですか?」
『世界樹ってのはな、オルバリオの国、つまりエルフの国だな。 そこに立っている絶対不可侵の樹のことだ』
「えっと、つまり、エルフの国で世界樹を救ったから師匠の言う
『そうだな』
蒼が短く簡単にしてくれたので、他のメンバーにもわかってもらえただろう。 他のメンバーって言ってもあとはロゼしかいなかったけど……
『でもな、今の俺の姿だと魔力波長が合ってないから森には入れないと思うんだ』
「え? 魔力波長なら一緒ですよ?」
オルバリオが素っ気なく当たり前のようにそう言った。
『え! マジで!?』
オルバリオの一言で耳が立ったと思う。 常日頃は、意識をしていなかったが、今だけ意識して動かした。 つまり、日頃しないことをとっさに出てしまうほどに驚いていたのだ、この時の俺は……
「てことは、行けるってことですか?
「そうだ。 だがな、一つ問題がある、もしそこにグレンの身体があった時、グレンの身体がどうなっているかがわからないということだ」
確かにそうだ。 約二ヶ月の間に俺の身体に何も起こっていないっていう方がおかしい。 魔王が現れて三ヶ月から五ヶ月ほど、その間に死人を三日も放置していればアンデッド化するぐらいにまでなっているはずなのだから。
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