第2話 マジックテント



 俺は黒い魔結晶にエーテルを流した。


 パシュッ!


 カチカチカチ



 すると30cmほどのピラミッド型の銀色の箱が一気に1mほどの大きさとなり、そのまま機械的な音を発しつつ最終的には3m四方の大きさになった。高さは2mほどだ。

 見た目はそのままピラミッドで、地面に接触している四方とピラミッドの頂点だけがミスリルで銀色だ。その他の壁となる部分は硬くて柔軟性のある茶色の砂竜の皮を、白く塗装したものを使っている。


 次に俺は念のために直径30cmほどの円盤を取り出した。これは魔導結界盤といい、白い結界の魔結晶を中心に取り付けたものだ。俺は2等級の魔結晶を取り付けているので、エーテルを流す量によりテントを中心に最大半径5mの円状の範囲に結界を張れる。

 さらにエルフに作ってもらった対となるベルがあるから、誰かが結界を攻撃したらテント内にいてもわかる便利な魔道具だ。


 俺は魔導結界盤を専用に作ったテントの壁に設置し、中央の白い魔結晶にエーテルを流して起動した。

 すると薄っすらとテントを囲むように、ドーム状の白いバリアのようなものが展開した。


「これでよしと。カレン、着替えに行くぞ」


「ワタル……お風呂も……」


「ん? ああそうだな。戦闘後でかなり汚れたしな。んじゃ風呂も入るか」


 魔王のいる宇宙船に入ってから、ほぼ丸一日戦い続けていたからな。


「うん……ワタルをキレイにする」


「頼むよ」


 俺はマジックテントの革製の入口を開いてカレンと共に中に入った。

 マジックテントの中に入るとそこは真っ暗な空間で、すぐ目の前に玄関の扉があった。

 俺は玄関灯に照らされてよく見える扉のドアノブに、エーテルを流し鍵を開けた。

 これもエルフが作ったカラクリだ。居住者のエーテルを登録しておけば鍵いらずで開けることができる。


 アルガルータの文明はまさに中世のヨーロッパみたいな感じだったんだが、ところどころエーテルを使った技術が発展している。そして特殊な鉱石類が多く、エーテルを流すと高熱を発したり光を発したりする石や水晶なんかもあり凄く便利だった。


 魔結晶という特殊な現象を起こす物が手に入るようになってからは、エルフのエーテル回路技術もあり地球にあるような便利な道具なんかも開発されたりしていた。まあ俺がエルフとドワーフに造らせたものなんだけどな。



 俺とカレンは玄関を開けて中に入り、入口横の壁にある金版に手を置きエーテルを流した。すると部屋の中全てに明かりが灯った。この灯の源もエーテルに反応して光る水晶みたいな物があるのでそれを利用して作られている。


 玄関から廊下を歩き途中の物置部屋を通り過ぎるともう一つ扉があり、その扉を開けるとそこには30帖ほどあるリビングが広がっていた。


 もうわかると思うけど、このマジックテントは1等級の空間拡張の魔結晶を使っている。

 つまり50m四方までの空間を作れるんだ。そこに俺は4SLDKの家を建てたんだよね。

 このほかにも2等級の魔結晶を使った巨人用の1Rのマジックテントと、その他臨時パーティ用の4LDKのマジックテントもある。このマジックテントほど広くはないけどな。


 俺が自重なく地球の知識をフルに使って作ったこの家は石造りの平屋だ。

 テントの見た目がピラミッド型なので、この空間のエーテル濃度は濃くエーテルの回復も外で過ごすより早くなる。もちろん手持ちのエーテル結晶も、エーテルが貯まる速度が速くなる。空間拡張の魔結晶が無くとも、ピラミッド型のテントにすることは魔物と戦う戦士の間では常識だ。


 家の間取りだけど天井は6mほどあり、リビング30帖と15帖ほどの部屋が4つに10帖のサービスルームがある。冷暖房も当然完備している。熱を発する鉱石と魔物の魔結晶で作ったものだ。


 え? カレンと2人なのに4部屋も必要ないだろって?

 このテントを作った時はハーレムができると思ってたんだよ……

 誰も使っていない残り二つの部屋には、特注で造らせたピンクのベッドや可愛いソファにクローゼットなど家具が未使用のまま置いてある。強者どもが夢の跡ってやつだ。

 カレンもほとんど自分の部屋を使ってないしな。寝る時は毎日俺のキングサイズのベッドで寝てるし。なぜキングサイズにしたのかとかも聞かないでくれ。


 部屋以外の間取りと設備だが、広くて開放的なトイレに広い浴室。湯船は大人6人が向かい合って足を伸ばせるほど大きく作ってある。

 キッチンも地球にあるオール電化キッチンのように先進的な造りで広く、大人数の食事だって作れる。そして大型の冷蔵庫まであるんだ。


 料理を作る時は、エーテルを流すと高熱を発する鉱石を使う。火で肉を炙りたい時は炎身の魔結晶を埋め込んだ専用の装置に入れて焼く。これはエーテル回路で火力調整が可能だから焦がすことはない。


 冷蔵庫には上部に氷弾の魔結晶を密封していて、そこで常に氷が作られている。それを下部の箱で発生させている風弾の魔結晶で庫内に冷気を巡回させている。


 お風呂の熱源も鉱石と炎身の魔結晶を併用しているから、すぐに熱いお湯が出る。

 水は外に大型の貯水槽があり、その中には頑丈な黒鉄の容器に入れた水弾の魔結晶が複数入っていてそこから水を発生させている。


 トイレの水もここから引き、洗浄便座も作った。

 汚水は外の汚水槽に流れ、火遁かとんの魔結晶で瞬間的に全てを焼き切っている。

 ちなみに火遁は火炎放射のことだ。ブレスを吐くトカゲがいてさ、なんかカッコいい名前ないかと考えてたら忍者を思い出したからそう名付けた。


 俺も背中に埋めんでいて、火遁術! とかいってよく雑魚敵に使って遊んでる。

 カレンは横でジーッと見てるだけだけどな。こういう時に表情が読めないって辛いわ。


 魔結晶を発動させるためのエネルギーは、エーテル結晶石だ。外にある20cmほどのエーテル結晶石に、エーテルをよく通す材質のコードを繋いで各設備にエーテルを流している。

 エーテル結晶石はテントを展開している時は、外に換気口を繋いでいるので勝手にエーテルを補充してくれる。使い過ぎても残量が部屋から見えるから、エーテル結晶石の色が薄くなったら俺かカレンがエーテルを結晶石に補充すればいいだけだ。


 作るのは苦労したけど、光熱費0とか最高だよな。





 俺とカレンはリビングに入り装備を外し、カレンに着替えを用意してもらってから一緒に脱衣所で服を脱ぎ浴室へと向かった。

 洗い場まではカレンの程よく大きくて上向きで、やわらかいお尻が左右に揺れるのを眺めながら俺は後ろをついて歩いた。


 そして洗い場に設置してある真ん中に深い溝の入っている特殊な椅子に座り、前から後ろからカレンにされるがままに身体を洗われていた。


 不思議だな……カレン、本名をカレナリエルというんだが、彼女を預かった時は何を話しかけても無反応で、ご飯だって俺が口もとに運ばないと口に入れないほど心が死んでいた。目の前で両親を魔物に殺されたから仕方ないんだが……


 お風呂も放っておくと自分で入らないから、俺が服を脱がせて洗ってやりタオルで拭いて寝巻きにも着替えさせていた。

 まあ当時カレンは13歳だったし、胸も膨らみ始めたばかりでペタンコだったからな。あそこもほぼツルツルだったし。俺は当時は18歳にして親の気分だったよ。


 それが今じゃ……


「ん……ワタル腕上げる……背中はタオル? お乳? どっちにする? 」


「乳で」


 俺は即答し、後ろで俺の背中を両乳で上下に擦るカレンを鏡越しに見ていた。


 そう、今じゃ俺が自分で身体を洗うことすら許されなくなってしまった。

 カレンは俺の腕を洗うと自分の腕を、足を洗うと足を、お尻を洗うとお尻をと、かわりばんこに器用に洗っている。


 もうこんな生活が3年以上続いている。最初は背中だけだったんだ。けどカレンが16の時に俺が襲われて身体を重ねてからは、ここ2年ちょっとずっと身体の隅々まで洗われてる。カレンの膝の上に頭を乗せて洗われてる時は、さすがに頭ぐらいは自分でと言ったが許されなかった。まあ俺の抵抗も形だけだったけど。目の前に下乳があれば声も小さくなるというもんだ。


 カレンも家のことに俺の面倒と大変そうだから早くハーレムを作りたかったんだが、カレンに認められる子がなかなかいなくて全部却下されてんだよな。

 カレンのためというのは口実で8割は俺の欲望なんだが。おかげで無駄に広い家になったが。


 さすがにカレンの了承なく増やせないとはいえ、二桁クラスで却下とか……カレンは口ではあと1人か2人ワタルを外でも家でも守る女の子が欲しいとか言うんけどさ、絶対増やさせる気ないよな。


 もうここは日本だから諦めるしかないが、せっかく異世界に行ったんだからハーレム経験したかったな。


 でもその異世界のアルガルータも今頃はもう……


「ん……次は前……ワタルこっち向く……」


「ん? ああ……」


「……どうしたの? 」


「え? いや……なんでも……無くはないか……救えなかったなって……リーゼリットもシリルも、ドワーフの奴らも世話になった巨人族も……」


「……ワタルは私を……救えた……」


「……そう……だな……カレンだけでも生きていてくれて良かった……もしも俺だけが生き残っていたら……」


 きっと廃人になっていたかもな。

 そうだな。あの絶望的な状況でカレンが生きていてくれただけでも俺は幸運だな。


「私もワタルが死んでたら後を追った……ワタルのいない世界なんて……生きている意味がない」


「カレン……」


「ワタル……あ……ここ元気になった……ここはタオル? お乳? それともお乳とお口? どれにする? 」


「乳と口で」


 カレンは俺と見つめ合いながらも後ろから俺の魔剣、いや魔棒を握り、どうやって洗って欲しいか聞いてきた。

 俺は迷わず乳と口の両方を選択した。


「ん……いつも通り……そこのマットに寝そべる……」


 俺はカレンに言われるがままに、洗い場の横に常時敷いてあるマットの上に寝そべった。

 するとカレンが俺の足もとで魔棒へと倒れこむようにして両乳で挟み込み、たっぷりと唾液を垂らしてから左右の乳で交互に擦ったり上下にシゴいたりしながら口に含んだ。


「んっ……んっ……んふっ……わはる……きもひいい? 」


「ああ……気持ちいい……」


 俺はカレンの乳に挟まれ擦られ、カレンの小さな口に出入りする俺の魔棒を見つめながらそう答えた。カレンの乳は柔らかいのに張りがあり、そして2年以上俺を知り尽くしたその舌と口の動きは、俺の弱点をことごとく突いてきて俺は堪らず限界を迎えた。


「カレン……もうっ……」


「んっ……ひいよ……だひて……んっ……んん!? ……んっ……んくっ……んくっ……」


 俺が限界を迎えるとカレンは口で受け止めてくれ、そのまま全て飲み込んだ。


「ふう……あ〜よかった〜」


「いっぱい出た……」


 カレンはそう言って唇の端に残っている白い液体を舌でペロリと舐めとった。


「若いからな」


「ワタルは私のために19歳のままの身体……だから元気……私が全部出す責任ある……ワタルが死ぬまでずっと……」


 いや、老化で死ぬ前にカレンに搾り取られ過ぎて殺されそうな気がするんだけど……


 確かに19の時に初めて吸血鬼を倒して老化停滞の魔結晶を手に入れた。その効果がわかってからは、より上位の吸血鬼が侵攻してきた魔物の中にいたら優先的に倒した。そしてもっと老化速度が遅くなる魔結晶に付け替えていた。

 カレンのために。カレンに俺は死なないと安心させるために。


 俺は鏡に映る背中にある15個の魔結晶に視線を移した。

 それは一つ5cmほどで、俺の融合の魔法により皮膚に完全に融合している。服に引っ掛からないように表面は滑らかになるように変形させてな。


 実際は5cmよりもう少し大きいがほとんどが体内にある。配置はまばらで、魔結晶と魔結晶を線で繋ぐとカタカナで『カレン』という文字になる。融合する時はカレンに手伝って貰っていたからな。気付いたのは12個目を融合した時だ。タトゥーかよって思ったね。


 魔結晶は色と形でその効果を見分ける。攻撃系の魔結晶はダイヤの形をしていて、再生や身体強化など補助系は四角だ。結界とか空間拡張など特殊な能力の魔結晶は、歪な球体な場合が多い。そして能力ごとに色が違う。老化停滞の場合は特殊な能力の部類なので、赤色の球体だ。色が濃ければ濃いほど上位の等級となる。


 ただ、攻撃魔法だけは等級がない。強い魔物ほど様々な魔法を持っていて、強力な魔法ほど魔結晶の色も濃い。

 例えば補助系の身体強化の能力は多くの種類の魔物が持っているが、その体格により強度に差がある。より大型の魔物が、自身の体格を支えるために持っている身体強化の能力の方が効果が高いというわけだ。ゆえに特級から3等級までランク分けをしている。


 しかしこれが攻撃系だと炎弾の魔法を放つ魔物は複数いるが、それより強力な豪炎を放つ魔物は1種類しかいない。ゆえに炎弾<炎槍<豪炎のように魔法そのもので強さがわかるから等級分けをしていない。


 確かに強い魔物が放つ炎弾は、それ以外のものが放つ炎弾より威力が高い。が、それは発動時に込めたエーテル量の違いだという研究結果が出ている。

 同じ炎弾の魔結晶の色も、魔物によっての違いがあんまりないことから等級分けはしていない。



 閑話休題



 俺は背中の真ん中にある赤い老化停滞の魔結晶を見ながら、確かにずっと10代の身体のままじゃ俺の下半身も元気いっぱいのままだよなと思っていた。

 10年で1歳分身体が歳を取る。あと最低百年は股間は元気なままなんだろうな……

 やはりカレンに負担を掛けないためにもハーレムは必要だったな。


「心配ない……私が全て搾り取る……一昨日も10回出した……私に任せる……」


「い、いやあれはさすがに俺もきつかったから半分で……」


 いくら十代の身体でもアレはキツイ!


「ダメ……ワタルは余裕があるとすぐ変な女にムラムラして引っ掛かる……搾り取らないと危険」


「そ、そんなことないって! 俺は常にクールだって! たまに俺は勇者じゃなくて賢者なんじゃないかって思う時があるんだ。主にカレンに搾り取られた後に! 」


 俺は真実を混じえた言葉で必死に抵抗した。


「……いいからもう少し出す……あむっ……んっ……んっ……」


「あっ! ちょ、うおっ! くっ……」


 しかしカレンは俺の言葉を完全にスルーして俺の顔にまたがり、俺の元気のなくなった魔棒にねっとりと舌を這わせた。そして口に含み前後に頭を振り始めた。

 俺の魔棒はその刺激と、目の前に見えるカレンの貝のような女の子の部分を見てあっという間に元気になった。


 しかしこのまま搾り取られてたまるかと、俺も負けじとカレンのお尻を掴み、顔をうっすらと白い毛のある貝の身の部分に埋めて舌でもって反撃をした。


 俺の反撃に時折動きを止め軽く痙攣をしたりしつつも、カレンは俺の魔棒から口を離さなかった。しかしカレンの貝は既にびしょびしょになっており、いよいよ耐えきれなくなったカレンは今度は俺の魔棒にまたがり一方的に俺の性欲を搾り取るのだった。


 お風呂から出て上機嫌なカレンがリビングで冷たい飲み物を持ってきてくれた時には、俺はソファで廃人のように燃え尽きていた。


 爺ちゃん……悪い、もうちょっと待っててくれ。








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