第3話 緑の騎士③

「面白い」

 と、ランドルフは言った。

「そこまで言うなら、見せて貰おう。墓場まで案内いたせ。」


 どうやら、彼の見栄みえだか矜持きょうじだかを刺激してしまったようだ。

「本気なの?」

 セルマはまじまじと少年の顔を見つめた。

「やめといた方がいいよ。ランラン。」

「ランドルフだ。大体、死体が、都合よく、そこら辺をうろついてなどいるものか。子どもだましも大概にせよ。」


 まずいことになったな、とセルマは肩をすくめた。

「わかった。でも仕事の邪魔はしないでよ、ランラン。」

「ランドルフだ。」

 こうして、セルマはランドルフを連れて見回りに行く羽目になった。


 外には、いつものようにジェイさんとフレッドが待っていた。二人はランドルフの姿を見ると、首を傾げた。

「今夜はこの子も連れて行くから。」

 セルマは彼らにそう告げた。


 セルマ、ランドルフ、ジェイさんとフレッドの一行は墓地に向かって下って行った。

 ジェイさんとフレッドは、ランドルフがいるのが面白くないらしく、時折ウウウウゥ、ヒヒヒヒヒと低く唸っていた。

「何だ、その態度は。」

 ランドルフは腹を立てた。

「王子に対して無礼であろう。」

 食ってかかろうとするのを、セルマが止めた。

「だめだよ、ジェイさんとフレッドには逆らわないで。二人とも子どものいたずらのせいで死んだから、怒らせたら、容赦しないから。」

 二人の動きが一瞬ぴたりと止まり、やがて前より大きな唸りを上げた。

 冗談のつもりで言ったのに、どうやら図星だったらしい。 

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