第8話 鎖に繋がれた心
私の病気は進行すると言葉も発せなくなる。私はまだそこまで進行していないが家族から嫌われ、友達も1人もいないので話し相手が全く居ない。声を出すことが全くない。ほぼ自分の部屋で1人で過ごし、携帯電話は契約しているが電話がかかってくる事は皆無。鳴らない電話。携帯電話はネットの画面を見る程度。メル友を募集してみたが、こんな婆さんにメールは来やしなかった。メールが来てもすぐ相手から返信が来なくなる。自分の対人能力の低さが思い知らされる。この歳になると友達の作り方も分からなくなる。
自分の部屋の窓から眺める景色が唯一外界との接点。登下校途中の子供達の笑い声・通勤途中の人・買い物へ行く主婦、みんな行き先と目的があっていいね。どれだけ地球が広くても私の世界はこの部屋の中だけだ。ガリガリの体に毎日ヨレヨレのスウェットパジャマを着て、髪も肌も何の手入れもせず、ゾンビと言われても仕方ないのだろう。誰とも会わないのだから髪がボサボサであろうが恥ずかしさはない。もうお風呂にも入る気さえしなくなった。そういえばもう何日も歯磨きしてない。全てに無気力になっている。
時間はたっぷりあるが、趣味は何もない。何をしても楽しめない。絶望感しかない毎日だ。
日曜も祝日も私には関係がない。何曜日であろうが何月何日であろうが孤独に耐える毎日は変わらない。
心が鎖に繋がれたかのように、この狭い部屋だけが私の居場所。
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