第2話 親戚に引き取られる
私は調理が全く出来なくなり
店は閉店せざるを得なくなった。
ここまでトントン拍子に進んできたのに、いきなり大きな不幸が舞い込み、絶望感しかなくなった。
自分が60歳近くなってまさかこんな不幸が舞い込んでくるとは思わなかった。
難病さえ発症しなければ充実した老後生活を送れる予定だった。
結婚もせず、友達も作らず、1人で頑張って働いて貯金してきた私にこんな悲惨な病気が発症する運命が待っていたとは。
原因不明の治療法もない難病。
いつ、誰が発症するか分からない恐ろしい難病。発症する人の確率は1万人に1人。
更に不幸な環境が私を待っていた。
このまま一人では生活ができないので弟夫婦の家に引き取られ、弟と弟の嫁と甥と一緒に生活する事になったのだ。
甥が使っていた部屋が私の部屋となり、ベッドや生活用具が運ばれた。
狭い家で自分の部屋を奪われ、甥は不満そうだ。
生活用具といっても、もうお洒落をして外出は出来ない、化粧も出来ない。
この病気が分かった時に外出着やバックや化粧品など私にとって無意味な物は全て処分した。絶望と哀しみでヤケになって処分しまくった。精神的に狂ったように所有物を捨てまくった。
病気と不釣り合いな物は見るだけで哀しくなる。ハイヒールやブランド物バック、綺麗な服を狂ったように捨てまくった。
結果、私の私物はパジャマと下着と寝具のみとなった。
この私物の少なさが表すように私はもうこんな体で生きていたいと思う気力もない。
私のこの先の人生は悲観のみが残った。
私の病気はこの先、体が不自由になる一方で知覚・ 知能を侵されることはない。つまり脳機能だけはハッキリとしたまま体の不自由さだけが進行し、精神的苦悩だけがハッキリと能に響く。私はまだそこまで進行していないがいずれは脳はハッキリしたまま全身麻痺の植物人間になる可能性が高いのだ。
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