女の膿

花耶子

第1話 悪夢の始まり

私は和恵59歳。

独身でOL35年して貯めた貯金をはたいて念願の飲食店をオープン。1階が店舗、2階が住居の念願の住まいと仕事を同時に手に入れた。


老後も働き続けられる理想の自営業に辿り着いた。我ながら老後の計画は順調。

終の棲家と定年の無い仕事の両方を同時に手に入れた。


ここまでは完璧に進めてきた。

店の経営も順調に伸び、何不自由ない生活。

常連客も徐々に増え始めた。

休みの日は彼氏とデート。

仕事も恋愛も充実した楽しい毎日だった。


しかし私の人生にはまさかの落とし穴が用意されていた。人生はこんなにまでも上手くいかないものなのか?

まさか自分が重症難病患者になるとは。

急に手先が思うように動かなくなり、包丁が持てなくなった。

体重も急にガクンと激減。

病院に行くと、とある難病と診断された。

筋肉が痩せばんでいき、どんどん体が不自由になる病気。

私の病気は、筋肉がだんだん痩せて動かなくなくなっていく病気。

体は不自由になる一方で視力や聴力、脳機能などはすべて保たれることが多いらしい。

視力は保てても瞼の筋肉にまで病気が進行すると瞼は閉じたままで自分の意思では開けられなくなる。つまり失明同然。いずれはそうなる可能性もある。


目も見えず、体が全く動かない植物人間という人間の形をした植物のような体の中に、感情という衰えない脳機能だけが鮮明では過酷でツラ過ぎる。それでもその感情に耐えていかなくてはいけないのだろう。

せめて脳機能も同時に衰えてくれたらツラい思いはしなくて済むのに。

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