木桃瓊瑶

『詩経』に曰く、「私に桃をくれるならば代わりに玉をあげよう」(『詩経』「木瓜」投我以木桃報之以瓊瑶)」と。

そもそも、功績があれば必ずこれに褒美が与えられる。徳があれば、必ずこれに報いが与えられる。人民が衣食を供給してくれるからこそ、君主は飢えや寒さを免れるのだということをよく心に留めるべきだ。この人民の功績は莫大だが、君主がその万に

一つも人民に報いることなく、逆に彼らに課す租税を増したり、供給しがたい物資を督促し責任を負わせたり、傲然として人民を下僕視して、その大いなる功績を考慮しないとはなんたることだろうか。

君主たるものは、衣服を着るときはいつも、辛苦して機を織り蚕を飼う女たちのおかげで、寒さを知らずに済んでいるのだと思わなくてはならない。食に向かっては、一年中田畑を耕して収穫している農夫らのおかげで、飢えを免れているのだと思わなくてはならない。まことに、このような心がけでいれば、どうして安逸に耽ることができようか。

周公曰く、「君子はその位に安逸にしてはならない。まず人民の苦労を知り、その後に安逸せよ。すなわち、賤しい者が頼みとするところを知れ(『周書』「無逸」君子所其無逸。先知稼穡之艱難、乃逸。則知小人之依)」と。一衣一食、人民の功績でないものはない。祖先の恩で無いものはない。天子の恵みでないものはない。上天の命でないこともない。反復してこれを思い、これを顧みて、自分の職に励み、恩に報じ、功に報じることを思うべきだ。

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