天命不寧
天が君主に与える使命は簡単ではない。人民は天命に服する。人民が服するのは徳器が備わった人である。『書経』に曰く、「天は我が民の視るによって視、天は我が民の聴くによって聴く(『書経』「大誓」天視自我民視天聽自我民聽)」と。また『孟子』に言う、堯が天下を舜禹に与えたことは、君主が人民に施した祭礼や審判に、人民が服し従ったことによって、証されたのである。
そもそも、善悪や欲求というものは、人ごとに、村ごとに、一族ごとにあるいはまちまちであるかもしれない。しかしながら、億兆の人がみな善とみなし、悪とみなすことは、一介の私心ではないがゆえに、みな天下の公理である。天下の公理は即ち天の心である。君主は一介の私ではなく、この公理をもって公の心となすのでなくては、天命を受けて天職を修めるとは言いがたい。『書経』「洪範」に、「不偏不党、王道は広大平坦だ」(無偏無党、王道蕩々。無党無偏、王道平々)と言う。王道は即ち天の道である。物欲に駆られて、土木事業を興し、戦争を起こし、贅沢三昧で、天民を虐げる者が、天罪を受けないということがあろうか。
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