第2話 今までとは違う日常が!?

 「飛鳥君て、喧嘩止めて殴られたんじゃなかったの?」

「いや〜勢い良く飛び出してきてはぶっ飛んでましたね〜。」

「まあ、飛鳥君らしいわ。」

保健室の先生とイケメン男子が横でずっと話してるんですけど? 私放置? それに、イケメン男子と一緒に保健室に入ってきた可愛い女の子に見られ続けてるんですが・・・どうせ私のこと、イケメン男子とイチャつくのを邪魔する邪魔者とでも思ってるんでしょう? それにしても誰かに雰囲気が似てるんだよなぁ。人との繋がりが皆無とも言える私の頭の中に残ってる人なんて限られている。

「飛鳥君?大丈夫?心配したんだからぁ。」

あぁ。この包み込んでくれるような優しい響き、間違いない。前いた次元で最後に優しくしてくれた人。それなのに女の子の姿をしている。もしかすると私と同じ状況なのでわ!?

「えっとぉ、田島葵さんであってる?」

勇気を出して聞いてみた。


 「うわーっ! 光軌くん!! 飛鳥君が! 飛鳥君が〜!!」

「どうした葵!? 述語を付けて喋ってくれ!」

「たぶん、記憶が抜けてるよーー。私、今、名前の確認されちゃった(汗)」

「まじかよ飛鳥。お前、俺が誰か分かるか?」

ちょっとちょっと、この人たち騒がしすぎるよー。私ほんとに、会話に慣れてないんだってばー!それでも返事はしなくては。出来るだけ自然に・・・ 君付けにしなくてもいいよね?

「当たり前じゃん。光軌でしょ? 葵も心配かけてごめんね〜。」

よし!上出来でしょ!

「飛鳥。ほんとに大丈夫か?話し方が女子だぞ?」


 しまったーーー! 私、今、男の子だったーー。どうやって言い訳しよう。

もうなるようになれ!

「さっきまで女子に生まれ変わった夢見てたから、それが移ったっぽい。葵によく似た女の子もでてきて、ちょっと混乱しちゃってただけだよ。」

「そっかー。良かったー。めちゃくちゃ心配しちゃったよぅ〜〜。」

田島さんに強く手を握られながら、優しい声でそう言われた。上手くいったみたい。だけど光軌君からはトゲトゲしく光るような目で睨みつけられてる。それでも本当の私を見る他人の目とは違う、友達を見るような目だったから気には留めなかった。


 「それじゃあ三人とも、教室に戻りたまえ! 飛鳥君、変な無茶はもうしないように!」

保健室の先生に挨拶をしてから教室に向かう。正直言うとちょっぴり怖い。こんなにも私に気を掛けてくれる人なんて今までいなかった。だから、教室でも上手くやっているのではないかという期待が打ち砕かれるのではないかと恐れてしまう。それでも私は、足を一歩踏み出す。


 ガララララッー


 「飛鳥の回収終わりましたー!」

光軌君が賑やかな教室の中に向かって叫ぶ。クラスのみんなの反応は??

「おかえりー! お前はアホすぎるぞ!」

「大した怪我がなくて良かったな!」

みんなが出迎えてくれた。上手くいきすぎてるけど、こんなに嬉しい日は生まれて初めて。


 これで私も、みんなと同じように青春をエンジョイ出来るだろうか??


 そんな事は無いと実感するのはまだ先のことだった。

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