30.国境の南、太陽の西

 これも例によって村上春樹の作品です。これはもしかしたら、ノルウェイの森を読んで面白いと思った方は、この作品も気にいるかもしれない。私は主人公に取り巻く喪失感とかそういうものがノルウェイの森に似通っているように感じたし、恋愛的な要素が含まれた小説だからです。

 高度経済成長の中を生きた当時の人の不安とか、そういうのも反映されたこの作品は、その時代を生きた人なら共感するのかな?多分。ダンス・ダンス・ダンスとかが面白いと思った方も好きかもしれない。ただこの作品はリアリズムなのかな?少なくともファンタジー的な要素はないので、そういう方がいい方もぜひ。

 あらすじ



「僕」は一人っ子という育ちに不完全な人間という自覚を持ちながら、成長と共にそれを克服しようとする。義父の出資で開いた「ジャズを流す、上品なバー」(文庫版、95頁)が成功し、二人の子供を授かり、裕福で安定した生活を手にするが、これはなんだか僕の人生じゃないみたいだなと思う。そんなとき、小学校の同級生だった島本さんが店に現れる。


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