21.満願

 前も言いましたが、私は米澤穂信ファンです。全部読んでるわけではないけど、好きな作家を聞かれたら村上春樹と米澤穂信です!って言います。岸祐介も好きなんですけど、最初の二人は特に好きなんですよね。米澤穂信のミステリ特有の、読んだ後の苦味が特に好きです。犯人が見つかって、解決!で終わるんじゃなくて、少し後味が悪く、何か苦いものが残っていくんですよね、その読んだ後の感覚が私はたまらないというわけです。あと読みやすい。

 満願は、その中でもかなり好きな作品の一つです。短編集だからあらすじとか言い出したらキリがないけど、米澤穂信の短編らしい短編って感じです。殺人事件の犯人を推理するミステリではなく、どうして殺人に及んだのか? とか、どうしてそこに至ったのか? とか、そういう人間の内部について推理していく短編集です。とにかく、オチが上手いんですよね。満願とかは特に。オチを作らせたら米澤穂信に勝る人ってあんまり見ないな。

 なんだろう、落語とかそういうもののオチの付け方に似てるかもしれませんね、感覚としては。そういう、少し黒いオチの付け方をする、米澤作品、是非読んでみてください。満願はなんでも、小説の賞を三冠達成したとかいうすごい作品でもあるんですよ。

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