20.羊をめぐる冒険

 鼠三部作の、三作目であるのが、この作品です。村上春樹「羊をめぐる冒険」。この作品は結構これが一番面白かった、と言う人が多いんですよね。爆笑問題の太田さんは村上春樹作品が嫌いらしいですが、羊をめぐる冒険は面白かったって言ってました。たしかに、文学的に優れた作品なんだろうなってことは私にも分かりました。というのも、前作等に比べてストーリー性というものに重きを置いている気がするんですよね、そして文章はより精錬されたものとなっていたわけだし。

 今回のは一応あらすじというものは説明できます。


 あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい“鼠”の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。


 美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持っているという一頭の羊と“鼠”の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。


 今作って結構理不尽な目に遭ってるんですよ、主人公は。というのも、脅されるような感じで羊探しを命令されるからです。そういう理不尽を描きたかったのかどうかはわからないけれど、少なくとも私は個人を襲う理不尽というテーマが見れたわけです。村上春樹が意図したかどうかは別として。


 今作は結構、いわゆる小説らしく、主人公が目的のある行動をとるから、入っていきやすいんじゃないかな。割と村上春樹入門編かもしれない。

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