14.疾走

 今回は重松清の「疾走」です。

 私が小説に求めるものの一つの要素として、SEX and Death というのがあります。どちらか片方だけじゃいけない(もちろんミステリの場合は例外ですが)。これは、此岸を描くなら彼岸を描かなければいけない(つまり光があるとそこに影が出来るように)という、私の基本的な小説対する考え方があるからですね。そういう意味では、多分ノルウェイの森と疾走が、その要素を色濃く味わえる作品だと思っているわけですが。

 今作の特徴は、「エグい」です。結構エグい。作品を通してずっと暗いし、不幸は続きます。だけど、すごく胸を打たれるんですねぇ....


 あらすじは簡単に言うと、兄が放火魔として捕まってから、主人公シュウジの人生が波乱のものとなっていくというお話です。東野圭吾の「手紙」の、エグい版と思ってくれればいいのかな、と(もちろん適切じゃない表現だとは思いますが)。

 いじめ、セックス、殺人...シュウジはそういった世界にどんどん足を踏み入れていきます。


 そしてこの本の特徴の一つとして、語り手が主人公を「お前」と呼びます。独特ですよね。

 まぁ、後は読んで判断して欲しいといったところです。私の中学時代の大切な一冊です。

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