2.そして誰もいなくなった
何も私は文学のみを読むわけではありません。ミステリなんて大好きです。なので、今回はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を紹介したいと思います。
本作はミステリ史において、重要な役割を持っていると私は思っています。ミステリというものを世に作り上げたのは、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」です。そして、そのミステリというジャンルを大衆化させたのがコナン・ドイルだと私は思っています。
ではアガサ・クリスティはどういう形でミステリ史に名を刻んだか。思うにアガサ・クリスティは、ミステリを今の形に近づけたことにあるのではないか、と私は思うわけです。特に、ことクローズドサークルものに関しては、多大なる貢献をしたはずです。
クリスティが「そして誰もいなくなった」にて作ったプロットは、後の小説家のクローズドサークルにも使われています。
あらすじは、その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く…そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく(ハヤカワ文庫より)。というものです。
どうでしょうか。なんかありきたりだな、とは思いませんでしたか? しかし、何を隠そうその王道を作り上げたのは、この作品なわけです。この小説が作り上げたプロットは、後の時代にも使われ、現在でも十分通用しているのです。
そして、さらに特筆すべきはその簡潔な文章と量。無駄なシーンがなく、一晩あれば読み通せる量でもあります。結末も意外性にあふれています。ミステリの女王とクリスティが呼ばれるのは、それ相応の理由があるんです。
夜に何か本を読みたいと思ったら、クリスティの世界に浸るのはどうですかね。一晩で結末を味わえますよ。
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