宮城守護巫女部ミヤギレイバー

宮城県立日高見高校文化部再編会議中に石巻の封印解かれる

宮城県第二の都市、石巻市

2011年の東日本大震災では壊滅的被害を受けたがこの10年で逞しく復興した。

同時にその地球規模天災はこの石巻市=牡鹿郡に封印されていた鬼を復活させてしまったのだが…


石巻市中心部から北西に位置する桃生町

奈良時代には桃生城という対蝦夷の城柵が置かれていた大和族と蝦夷の戦い由縁の土地に鎮座する「日高見神社」

北上川の水神を祀るとされているこの神社の社務所に1台の普通乗用車に乗って宮城県立日高見高校郷土研究部の4人と運転していた顧問の教師がやってきた。


・郷土研究部


部長

2年・早坂はやさか祈音ねおん(16)

副部長

2年・丹野たんのまい(17)

部員

1年・狩野かのう幸音ゆきね(16)

1年・猪股いのまた睦弥むつみ(15)

顧問

庄子しょうじ愛子ちかこ(24)


「着いたで」

「うわぁ!ここが日高見神社!」

「初めて来たけど、立派そうで目立たない。秘密基地みたい!」

「高校生になって秘密基地だなんて心は子供のままね」

「あー生徒会長!」

幸音の童心に冷水を浴びせたのは、社務所から出て棋士扇子を片手に現れた宮城県立日高見高校生徒会長・今野こんの咲春さくらだった。

「なして生徒会長がここに!?」

なしてどうしてって部活動の新設と承認は私の仕事だからよ!こうしてここまできたんじゃない!」

「ちょっと!偉そうにしてねぇで、買ってきた食べ物と飲み物を中さ運んでけらしぇ!」

「はーい」

生徒会長咲春も手伝って愛子の車から飲み物と食べ物が社務所の中に運ばれていく。


日高見神社社務所の広間の中には生徒会長咲春の判断によって集められた部活動の部員達がテーブルを囲っていた。


・漫画研究部

部長

2年・小野寺おのでら一夢よしむ(17)

副部長

1年・佐沼さぬま武美いさみ(16)


・新聞部

部長

2年・沼倉ぬまくら虹海ななみ(15)


・コンピューター部

部長

3年・我妻あがつま数子すうこ(17)


郷土研究部も含めると8名が集められていた。

「それで本題ですが、まず部員が1名になった新聞部とコンピューター部、2名になった漫画研究部を4名の郷土研究部と統合させます」

「ええー!?」

「部活動を統合!?」

「そんなの初めてだで!?」

「横暴だ!」

「こっちの事情も汲み取らいや!」

突然の発表に部活動サイドから生徒会長咲春に野次が飛ぶ。

「あら、何の実績も残してなく先輩OBの遺産を食いつぶすだけの青春を送っている貴女達に何の事情が?」

「ぐっ…」

「今年度は新入生が部員として入って来なかったけんど、来年は入ってくるかもしんねぇ!」

「1学年いねぇのは珍しくねぇべ?未来の新入生の為に部を残して置きたいの!」

「未来より今!希望的観測より確実性を!とにかく!4つの部活動を統合して、この日高見神社社務所を部室として新たな部活動として発足させます!よって、この新たな部活動の部名を皆さんで考えて、部活動申請書を書いてこの場で提出しなさい!」

生徒会長咲春は部員達の反論も意に介さず一方的に捲し立てた。

「んだで…ったくっ…やってらんねぇじゃ…」

コンピューター部の我妻数子が席を立ち、社務所の縁側に出るとそのまま窓の外を見て立ちすくんだ。

「うわぁ!」

「どうしたの?」

「あ…あれを見らい!UFOでねぇの!?」

「あ、あれは!?」

朝日山あさひやま計仙麻けせま神社じんじゃの方角です!」

「あ、あっちにも!」

「あちらは無夷山むいさん箟峯寺こんぽうじです!」

広間にいた部員達が縁側に集まり外を見渡す。


朝日山計仙麻神社、無夷山箟峯寺、牧山零羊崎神社、拝幣志神社、龍口神社、金華山黄金山神社といった石巻市内の有力寺社の御神体から同時多発的に光の柱が天空に向かって立ちがった。


「さらに登米市の大嶽山おおだけさん興福寺こうふくじからも光が上がってる〜こりゃ石巻だけの事件じゃないな」

「この前は鉄道や船や飛行機がいきなり消えたり、恐竜の模型が勝手に動いて消えちゃったりと、東北6県は怪奇現象ばっかり起こってない?」

「怪奇現象で思い出したけど、私ここに来る途中で柳津駅に列車から降り立ったっけ、目の前に次元の裂け目?みたいな穴から気仙沼線BRTが目の前に出てきてさ、びっくりして柳津駅は大騒ぎになったな」

「何それ!?私が居合わせたら大スクープじゃん!?」

「今度はBRTが神隠しか?」

「ちょっと!まだ議題は終わっていませんよ!?部活動名が決まるまで解散しませんからね!」

部員達は先日起こった事件と絡み合わせて目の前の怪奇現象に目を奪われていた。

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