東北地方古代生物復元標本に悪鬼が憑依しロボット化

同じ頃、


宮城県の南三陸町


福島県いわき市


岩手県岩泉町


青森県七戸町


秋田県男鹿市


山形県山形市


この6市町にあるアトリエから、それぞれ製作途中で完成まであと一歩だった、


ウタツサウルス&クダノハマギョリュウ&ホソウラギョリュウ&マストドンサウルス


フタバスズキリュウ


モシリュウ&ティラノサウルス&マエサワクジラ&ニノへイルカ&ハナイズミモリウシ&キンリュウオオツノジカ&ユダクサガメ


センダイゾウ&アオモリゾウ&ナウマンゾウ


デワクジラ&パレドパラドキシア&デスモスチルス


ヤマガタダイカイギュウ


それぞれの復元標本に天空からどす黒い鬼のエネルギー生命体が憑依した。

「まーた昔みてぇに人界の奴らを困らせるにはおっかねぇ動物が好都合だで」

「ならアレだな」

憑依した復元標本は悪鬼羅刹の持つマイナスエネルギーと神通力により、黒い光を放って“鋼鉄の体”に変化した。

オン呪罰智ジリチエイ莎呵ソワカ!!」

羅刹天真言と共に鋼鉄の体=ロボット生命体と化した悪路王達、悪鬼羅刹は古代生物の雄叫びをあげてアトリエの外へ飛び出した。

「わはは…現世じゃ現世じゃ!!」

「実に1200年ぶりの地上じゃ!!」

その様子を見ていたアトリエの関係者や町の住民は一様に幻覚を見たのかと疑ったが、アトリエから復元標本がすっかり消えていたのを見て確信した。

所轄の警察は盗難として受理したものの、証言の非現実さから殆ど向き合わなかった。

各県のローカルニュースでも取り上げられたものの、関心を寄せたのは一部の好事家のみで、大半の住民は無関心だった。

それが悪鬼羅刹側に幸いしたのか、夜も暗くなった東北の山中を縦横に彷徨う悪鬼羅刹達。

そこへ悪路王より念力テレパシーで各悪鬼に指令が伝わる。

「聞け!お主ら!お主らにはこの“鬼魂魄”を奥羽各地にばら撒いて貰いたい!」

「鬼魂魄…ですか…?」

悪鬼羅刹達の手元に届いたのはどす黒い火の玉だった。

「鬼魂魄は奥羽の民が自らの故郷を憎む気持ちが生み出した生きた負の力の結晶!これを森羅万象に取り憑かせ、更なる鬼をお主達の手で生み出してほしい!」

「御意!!」

「ですが、悪路王様自身はどうなさるおつもりで?」

「ワシはこの鬼魂魄をある程度作り出すために力を使ったせいで疲れた。だから古巣たる陸中国岩手郡にある岩手山の山中でゆっくり養生するとする。お主達はお主達で鬼魂魄を好きに取り憑かせるが良い」

「は…はぁ……」

「尤も…休んでいるとは言えワシは見ているからな…怠る事なく鬼を生み出せよ!」

「御意!!」

悪路王からの指令と鬼魂魄を受け取った悪鬼羅刹達はその足で各県の都市へ向かった。

そして現代に鬼という名の災厄を生み出すのであった。

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