第6話 村人の意地、村長の心労
「第一回聖剣引き抜き大会」が決まった。
事のあらましはこうだ。
噂はジワジワ広がるし、そんな簡単には勇者の耳に入らないだろうからしばらくは大丈夫じゃね?ということになった。
村長、心配じゃよ…。
村の連中、割とざっくりしたメンタルなのね。
『いよいよ…ですわね』
「おおシスター。そうじゃなぁ始まるなぁ」
『心配ですか?』
「…ちょっとな」
『大丈夫ですよ、いざとなればホーリーライトを最大出力で放ちますし』
「………」
だから心配なんじゃ…とは言えない。
笑顔が眩しいシスターに、わしには言えない。
それに、「いざと」ってどういう状況?
ホーリーライト最大出力って、もう兵器?
悩み、疑問は尽きない。
「おーい、村長!」
「ん?なんじゃ村人B」
「村の飾り付けとかどうする?」
「それなら宿屋の娘を中心に進めてるぞ?」
あの娘を放っておくとすぐ物騒な暗殺スキル使いたがるから…とは言えない。
村長、心労がやばい。
「大変だ!!」
ふと村人Cの叫び声がした方に行ってみる。
すると出店する屋台の場所について揉めているところのようだ。
「俺が先にここに決めたんだ」
「なんだよ、割り込みじゃんかよ」
『いいえ、アタシが先だったよ』
言い分を聞こうにもスイッチが入っていて、簡単にはいきそうにない。
皆の衆、村長来てますよ〜…。
嫌な予感しかしない。
なぜなら、わかりやすく魔力の高まりを感じているからじゃ…。
「ライトニングスピアァァァ!!!」
「フレイムマグナム!!!」
『アイシクルウェイブ!!!』
互いの意見…ではなくスキルがぶつかり合う。
『まぁキレイ』
「シスター、呑気じゃのぅ」
雷、炎、氷と三者三様で確かにキレイではある。
が、喰らえばキレイに消し飛ぶ。
どうする村長、このままじゃ大会が、村が、村長としての威厳が守れないぞ!
『次回に続きますー』
シスターは呑気だった。
これがいわゆる「いざと」いう時じゃないのか?と思ったりしたのは秘密じゃ。
とある村の反乱 〜勇者立入禁止!?〜 @kazu0518
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