第4話 今、聖剣を抜かせるわけには
今日は村の集会だ。
議題は前回決めた『聖剣引き抜き大会』を更に掘り下げていく。
「運営本部は村長宅」
『宿屋は宿泊施設として混むだろうから、教会にシスターが常駐して救護室』
「屋台は飲食店が出す他に、村の料理に自信がある者たちが出していい」
「宿屋の娘は、暗殺スキルを禁止」
『シスターのホーリーライトも禁止』
などなど。
───なのに、何なんじゃ?この不安は。
村長はどこかしっくり来ていない。
大会の目玉は伝説の聖剣。
賞品の価値と集客に関しては申し分ないはずだ。
ならば大きな集客から大きな収入を見込める。
さらには勇者が聖剣を抜いてくれたら、
その聖剣で魔王を倒したら、この村の評判はうなぎのぼり。訪れる観光客も増えて財源も安泰。
……何も問題はないじゃないか。
そう自分に言い聞かせた時だった。
「勇者が聖剣を抜いて行ったら、魔王なんかイチコロだよね」
……あっ。
勇者が聖剣を抜いて行ったら?
つまり聖剣が無くなるということ。
聖剣を抜く挑戦ができなくなること。
挑戦料が稼げなくなること!!!
一同「あああああぁぁぁ!??!」
いかん!今はいかーん!
この村長、村長になって以来、最大の村長!
最大の村長ってなんじゃ!?
落ち着け、落ち着け。
最大のピンチじゃ!
財源を勇者は持っていく。
買ったわけじゃないから、安い引き抜き挑戦料だけで。それは、村の終わりを意味する。
「……勇者の耳に届かないように引き抜き大会の噂を広めるにはどうしたらいいかのぅ」
村の運命を左右する会議が始まる!
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