第2話

◎七月危機

オーストリア=ハンガリー帝国はセルビア政府に対し10ヶ条の最後通牒を布告、それは以下のようである。

1

帝国政府の君主制に対する憎悪・軽蔑を扇動するすべての出版を禁止すること。

2

ナーロドナ・オドブラナ(セルビア国家主義者組織)と称する組織を解散させ宣伝その他の手段を没収し、帝国政府に対するプロパガンダを行う他の組織も同様にすること。

3

帝国政府に対するプロパガンダを助長しているもしくは助長する恐れのある全てを(教師も教材を含めて)セルビアの公教育から遅滞なく削除すること。

4

帝国政府に対するプロパガンダを行った罪で、帝国政府が一覧にした全ての軍関係者と政府職員を解雇すること。

5

領土保全に反する破壊分子の運動の抑圧のために、帝国政府の一機関との協力を受け入れること。

6

セルビア領で見つけられる可能性のある、サラエヴォ事件の共犯者を法廷尋問するとともに、帝国政府の一機関をこの手続きに参加させること。

7

帝国政府が行った予備捜査によって浮かび上がった2人の指名手配犯を直ちに逮捕すること。

8

武器と爆発物の違法売買の流通を効果的な方法によって防ぐこと。

9

国内国外を問わず、帝国政府に敵意を示したセルビア政府高官の陳述書を届けること。

10

全てについて実行する手段を、遅滞なく帝国政府に知らせること。

少なくとも7月25日の午後6時までは待つ

セルビア政府は内政干渉であると5項と6項に関しては回答を留保したものの、残りの全てを受け入れたが帝国政府は回答を不満とし7月25日国交断絶、28日に対セルビア宣戦布告がなされた。

7月危機において墺独英仏露で1ヶ月に及ぶ外交交渉が持たれたが戦争を止めることが出来ず、第一次世界大戦。大戦争の火蓋が切って落とされた。


◎開戦

オーストリア=ハンガリー帝国の対セルビア宣戦布告によって世界大戦は開幕するが、セルビアを支持したロシア帝国はオーストリア=ハンガリーに対し一部動員を7月29日に開始、翌30日には総動員に切りかえた。

オーストリアと同盟を結ぶドイツ帝国は皇帝ヴィルヘルム二世のいとこであるニコライ二世にロシアの総動員を止めることを求めたが拒絶されドイツ帝国はロシア帝国に対しオーストリアへの総動員を取り止め、セルビアを支援しないことを求めた最後通牒を送付、フランスにも関与しない事、セルビア関連でロシア帝国を支持しないことを求めた最後通牒を送った。

8月1日、ロシア帝国の回答にドイツ帝国は総動員を開始し、宣戦布告。これによりオーストリア軍は総動員を開始した。

フランスは回答はしなかったものの自軍を国境線から10キロ下げ、偶発的な戦闘を避けたものの予備役を招集するという不明瞭な行動を取った。


◎ドイツ帝国の戦闘計画

1905年、ドイツ帝国は露仏同盟以降高まった対露仏二正面戦争の対処の為にシュリーフェン・プランが立案される。

シュリーフェン・プランは簡単に言えば戦力の展開に時間の係るロシア帝国より先にフランスを下し、その後全軍をロシアに向けるという物だ。

このシュリーフェン・プランは小モルトケによって修正され、軍の八割を西方に向けるアウフマーシュ・Ⅱ・ヴェストと軍の六割を西方、四割を東方に向けるアウフマーシュ・Ⅰ・オスト、アウフマーシュ・Ⅱ・オストの3つが立案される。東方に向ける最大規模が四割留りなのは鉄道の輸送効率条オスト・プロイセンには四割が限界だからである。

フランスの不明瞭は行動に対しドイツ帝国は予備役を動員。

アウフマーシュ・Ⅱ・ヴェストを選択した。

8月1日、ヴィルヘルム二世はフランスが攻撃を受けない限りイギリスは中立に留まるとの誤報を受け、全軍を東に向けるよう命じるが、小モルトケは全軍を東に向けるのは間に合わない事、フランスに背後を攻撃させる隙を与えるのは得策では無いと説得するも聞き入れず、結局いとこの英国王ジョージ五世の電報により誤報である事が判明すると、ヴィルヘルム二世は小モルトケに「いまや、貴方は何をしても良い」と告げた。

8月2日ドイツ帝国はルクセンブルクとフランスに宣戦布告、ベルギーがフランス侵攻のためのドイツ軍通過を拒否すると8月4日に対ベルギー宣戦布告、イギリスはベルギーの中立が維持されなければならないと最後通牒を布告するが同日8月4日に対独宣戦布告した。

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