ワンダーオーストラリア

八洲田 凰太

第1話 旅立ち(プロローグ)

僕の名前はケン。父親がオーストラリア人で母親が日本人のハーフだ。しかし僕は日本で育っているので英語はあまり得意ではない。そんな僕が初めて1人でオーストラリアを旅する事になった。理由は単純に日本での窮屈な生活に疲れてしまったからだった。しかし、僕には懸念材料があった。それは僕が時々時空や次元を超えてしまう事だった。これは誰に説明しても理解してもらえない事だった。ふと気がつくと異世界のような場所に迷いこみ、しばらくそこにいなければならないのだ。その異世界はいつも現実の世界に少しだけ似ていて少しだけ違ったり、過去のように見えたり、現実にはあり得ないような生物が存在したりしている世界だ。しかし例えその異世界に行ってしまったとしても必ず戻ってこれることも知っていた。戻った時にはいつも現実世界を去った瞬間からまた始まるので、現実世界でのロスもない。現実世界では1秒2秒の事でも異次元や異次元空間で経験することは一・二ヶ月のように感じる事が多い。ここ最近はこの症状が起きていないが、去年しばらくぶりに発症してしまった。その時は友人と沖縄に遊びに行った時だった。どうやら環境が変わるとこの症状は発症しやすいのかもしれない。父親の生まれ故郷であるオーストラリアには子供の時に来たことがあるが、おばあちゃんが亡くなって以来来たことがなかった。おじいちゃんはおばあちゃんと離婚していて再婚もしているので、ほとんど縁はなかった。父親も会おうとはしていなかった。飛行機は今、成田から離陸し南半球に向かおうとしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ワンダーオーストラリア 八洲田 凰太 @kohtayasuda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ