コスモスの街

琴羽

第1話

僕は教室にいた。


「あぁ、これは夢か」


とすぐに分かった。


夢の中で自分が夢の中にいると気付く、


いわゆる明晰夢を見ることは昔からよくあった。


夢の中ならしょうがない、

どうせなら普段行けない屋上にでも

行ってやろうか。


時計を見ると夜中の2:00。


しかし時間の進みが早い。


そのうちアラームが鳴る時間になりそうだ。


座っていた状態から足を踏み出した瞬間、

足にけだるさを感じた。


ふと下を見ると足が浮いており、

空中を浮遊している自分が窓に映った。


夢ということを考えればなんでもありだ。


僕はひたすら空中で腕を動かし屋上へと続く階段に沿ってふわふわと浮遊した。


そして辿り着くと重い扉を精一杯押した。


初めて見た屋上は思っていたよりも広く、

そして真夜中の空が近かった。


小さな街で家明かりが少ないからだろうか、沢山の星に吸い込まれてしまいそうだった。


しかしそれよりも僕の目を惹きつけたのは

パラペットの上に立つ1人の少女だった。


彼女は何年生だろうか、

この学校の制服を着ていた。


「あの」


僕が彼女に話しかける前に彼女は振り向き、

微笑んでこう言った。


「さよなら、私の——」


そして彼女は消えた。


ふわりと空中を舞って飛び降りた。







「はっ」


目を覚ました僕は体中汗でびしょびしょだった。


時計を見ると朝の5時。


僕は一体何の夢を見ていたんだろう。


思い出せない。何も。


まぁいい、シャワーを浴びたい。


僕はメガネを取り、風呂場に向かった。

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コスモスの街 琴羽 @kotoha_14

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